まずはじめに、投球フォームは大きく4つの投げ方に分類することが出来ます。
- オーバースロー
- スリークォーター
- サイドスロー
- アンダースロー
アンダースローとは?
投手がボールをリリースする際、直立した状態から急激に体の重心を下降させ、腕を水平より下回る角度にまで下げた後、腕をしならせてから投げる投球フォーム。
打者からはボールがまるで下から上へと浮き上がったように見える光景から、潜水艦になぞらえてサブマリン投法とも呼ばれています。日本語では「下手投げ」と言います。
アンダースローを用いている選手
- 高橋礼(福岡ソフトバンクホークス)
- 牧田和久(東北楽天ゴールデンイーグルス)
- 渡辺俊介(元:千葉ロッテマリーンズ)
- 山田久志(元:阪急ブレーブス)
勝利 | 敗戦 | セーブ | ホールド | 奪三振 | 防御率 | |
高橋礼 | 12 | 7 | 0 | 0 | 88 | 3.28 |
牧田和久 | 53 | 49 | 25 | 54 | 514 | 2.83 |
渡辺俊介 | 87 | 82 | 0 | 1 | 846 | 3.65 |
山田久志 | 284 | 166 | 43 | – | 2058 | 3.18 |
※NPBでの成績
※ホールドは不明年度あり
現代野球ではオーバースローやスリークォーターが主流になる一方で、アンダースローの投手は急激にその数を減らしています。
従来の野球では、打者にとって経験が少なく慣れていない投球フォームであるアンダースローは有利とされていました。
しかし、データを駆使した野球に変わって来てからは、投手の特徴や得意・不得意を発見しやすくなり、球種やコースを絞って狙われるようになったことがアンダースロー投手減少の大きな原因と考えられています。
アンダースローのメリット
- ボールが下から上へ浮かび上がるような特殊な軌道
- 投球モーション中に間を作ることにより打者のタイミングを外しやすい
元千葉ロッテマリーンズの渡辺俊介は、自身の著書でアンダースローのメリットを上記2点と述べており、リリースポイントの低さは重要とは限らないと述べています。
アンダースローのデメリット
- 球速が遅くなる傾向になる
- 盗塁されやすい
アンダースローはリリース後にボールが下から上へと放たれるため、重力に反する形となり初速が抑えられます。
ボールにエンジンが内蔵されていない限り初速より終速が速くなることは物理的にないため、重力に逆らわないアンダースロー以外の投球フォームと比較した際に球速は遅くなる傾向にあります。
また、アンダースローは走者を背負った際にクイックモーションが難しく、先に挙げた球速の問題もあり盗塁をされやすい投球フォームになります。
アンダースローのトレーニング方法
アンダースローは下半身への負担が非常に強く体力のいる投法です。
また、土台となる下半身をしっかりと鍛えないと肩や肘への負担が大きくなり怪我に繋がりやすい投法と考えられています。そのため、まずはランニングなど下半身重点のトレーニングを行うことが必要です。
投球フォームに関しては、上半身の筋肉はあまり重要ではなく、下から徐々に力を加えていき、腕を鞭のようにしならせながら投げるイメージを持つようにしましょう。
全身を使う投球フォームであり、腕をしならせるという観点からも柔軟性は必要となります。
まとめ
- アンダースローの選手は急激に減少している
- 他の投球フォームにはない独特なボールの軌道
- 球速が出にくく、盗塁もされやすい
アンダースローは体力を消耗しやすい投法であるため、豊富なスタミナが求められます。
その一方で、アンダースローは球速が出にくいことで奪三振率が高くなく、打たせて取る投球スタイルであるため、球数を抑えて完投できる投球フォームとも言い換えることができます。
他の投球フォームと比べて指導者も少なく、現代野球では希少価値の高い投球フォームとなったアンダースロー。他の投げ方で球速を出すことができずに悩んでいる選手は、このアンダースロー投法を試してみることにより新しい活路を見出すことができるかも知れませんね。