飲料メーカーであるサントリーが1995年から「夢や感動を伝えたい」との想いから毎年開催している「サントリー ドリームマッチ」。
プロ野球界のレジェンドが時代を超えてプレイする夢の球宴であるこの大会に、2014年から6年連続で始球式を務めているのが女優の石原さとみさんです。
毎年、個性的な名投手の投球モーションを披露することで話題になっている石原さとみさんが、2015年に披露したのが村田兆治(元ロッテオリオンズ)の投球モーションであるマサカリ投法でした。
マサカリ投法とは?
マサカリ投法とは、左足を地面から高く蹴り上げている間に思い切り尻を打者に向けて突き出し、そこでタメを作ってから、マウンドに触れそうなくらいに下ろした右腕を勢いよく振り切る独特のオーバースローです。
その姿が、斧で大木を切り倒すような投球フォームであることから「マサカリ投法」と名付けられました。
村田投手は60歳を超えた現在でもこのマサカリ投法で135kmをマークしています。
そんな村田投手の現役時代の成績を振り返って行きます。
村田投手の通算成績・受賞記録など
勝利 | 敗戦 | 奪三振 | 与四死球 | 自責点 | 防御率 | |
村田兆治 | 215 | 177 | 2363 | 1144 | 1200 | 3.24 |
- 最多勝利 1回(1981年)
- 最優秀防御率 3回(1975年、1976年、1989年)
- 最多奪三振 4回(1976年、1977年、1979年、1981年)
- 最多セーブ投手 1回(1975年)
- ベストナイン 1回(1981年)
- 月間MVP 1回(1981年)
- カムバック賞(1985年)
- 野球殿堂競技者表彰
入団当初はノーコン投手だった村田投手。
しかし、プロ4年目の1971年に投球フォームの改造に着手し、試行錯誤してマサカリ投法にしてからは球威が増した上に制球もよくなりました。
野球殿堂入りをはじめ、数々のタイトルや賞を受賞した投球フォームであるにもかかわらず、なぜ村田投手のようなマサカリ投法を採用する投手が現れないのでしょうか。
マサカリ投法のメリットとデメリットから、その理由を解説していきます。
マサカリ投法のメリット
- 球速と球威が増す
- タイミングが取り辛い
体をダイナミックに使い、バックスイング時に打者に向けて尻を突き出し大きなタメを作った上で思い切り腕を振り切る投げ方であるため、球速と球威が増します。
また、その投げ方がどの投手も真似をすることが出来ない独特なフォームであるため、打者にとっては非常にタイミングの取りにくい投球フォームなのです。
マサカリ投法のデメリット
- 球の握りが打者に見え球種が分かってしまう
- 習得が困難
村田投手のマサカリ投法の動画をご覧になって分かった方もいらっしゃると思いますが、尻を打者に向けて突き出した際に、大きなタメを作る段階でモーションが一時的に止まってしまいます。
その時に下ろしていた右手が打者から丸見えになることにより球種が分かってしまうという欠点があります。
村田投手自身もこの欠点には気付いており、その対策として、モーションの途中にフォークの握りからストレート、ストレートの握りからフォークへと球の握りを変えながら投げるという技術をマスターしました。
一般の投手では不可能に近い技術であり、型だけは真似をすることが出来ても、デメリットである球種が分かってしまうという点だけは残ってしまうため、習得が困難な投球フォームと言われています。
まとめ
- 60歳を超えた現在でも135kmをマーク
- 球速と球威が増す
- 球種が打者に分かってしまう
村田投手は先発ローテーション投手としての起用が多かったが、速球とフォークボールを生かすために当時の金田監督の方針からリリーフに回ることがありました。
しかし、村田投手はこのことについて、「太ももなど下半身が、登板間隔の短いリリーフにはついてこなかったから戻してもらった」と述べています。
体への負担もあり球種が分かってしまうマサカリ投法をすべて習得し、第二の村田兆治と言われるような投手が現れてくることを楽しみにしたいですね。