まずはじめに、投球フォームは大きく4つの投げ方に分類することが出来ます。
- オーバースロー
- スリークォーター
- サイドスロー
- アンダースロー
サイドスローとは?
サイドスローは投球フォームの1つです。
横から腕を出すようなフォームで、ボールをリリースする際にはグランドの水平面と平行になる投げ方です。日本語では「横手投げ」と言います。
横からボールを投げるため、右投手なら右打者にとって、左投手なら左打者にとってリリースポイントを見えづらくすることができます。そのため、プロ野球の世界では先発型の投手もいますが、中継ぎや抑え、ワンポイントとして活躍している選手が多い投げ方となります。
サイドスローを用いている選手
- 秋吉亮(北海道日本ハムファイターズ)
- 高梨雄平(東北楽天ゴールデンイーグルス)
- 高津臣吾(元:ヤクルトスワローズ)
- 潮崎哲也(元:西武ライオンズ)
- 斎藤雅樹(元:読売ジャイアンツ)
勝利 | 敗戦 | セーブ | ホールド | 奪三振 | 防御率 | |
秋吉亮 | 19 | 22 | 59 | 74 | 322 | 2.72 |
高梨雄平 | 4 | 5 | 1 | 44 | 142 | 1.90 |
高津臣吾 | 36 | 46 | 286 | 8 | 591 | 3.20 |
潮崎哲也 | 82 | 55 | 55 | – | 967 | 3.16 |
斎藤雅樹 | 180 | 96 | 11 | – | 1707 | 2.77 |
※NPBでの成績
※ホールドは不明年度あり
かつては潮崎や斎藤のように先発でもサイドスローの投手を見ることがありましたが、近年のプロ野球ではめっきりと見る機会が少なくなりました。
その理由は、サイドスローという投げ方が抱えている弱点が起因しています。
サイドスローのメリット
- 投球に横の角度が付く
- ボールの出所が見づらい(投手対打者が、右対右、左対左のケース)
サイドスローは横から腕を出す投げ方であるため、直球・変化球に関わらず投げるボールには横の角度が付きます。
直球であればクロスファイヤー、変化球であればスライダーやカーブの曲がりが大きくなる特徴があります。
また、右打者にとっては右投手が、左打者にとっては左投手がサイドスローだった場合に投手のリリースポイントが見えづらく、特にスライダーやカーブなどの外に逃げていくボールは曲がりも大きくなるため、サイドスローを苦手とする打者は多くいます。
サイドスローのデメリット
- オーバースローに比べて伸びのあるボールが投げにくい
- ボールの出所が見やすい(投手対打者が、右対左、左対右のケース)
- 縦の変化球が投げにくい
オーバースローはボールを指先から離す瞬間に縦の回転を与えるため、伸びのあるストレートが投げやすくなるのに対し、サイドスローはこの回転が横になるため、ボールに与える空気抵抗の影響から伸びのあるボールが投げにくい傾向にあります。
また、対戦する打者がメリット時とは逆になるとボールの出所がとても見えやすくなり、縦回転を付けることが困難なため縦の変化球も投げにくくなります。
サイドスローの留意点
サイドスローで投げる距離は、塁間程度までとするように注意してください。
サイドスローでの遠投は厳禁です。
4つの投球フォームについての動画にもある通り、どの投げ方においても左肩と右肩の線上または線上より上から肘が出てくることが大切です。
サイドスローやアンダースローで無理に遠投を行おうとすると肘が両肩の線より下がりやすくなり、結果として肩や肘への負担が大きくなり怪我に繋がります。
サイドスローで投げる距離は最大でも塁間程度とし、その時も投球フォームをしっかりと確認しながら投げるようにしましょう。
まとめ!
- 投手にとっては対戦する打者(右or左)によってメリットとデメリットが分かれる
- 横の角度は付けやすく、縦の角度は付けにくい
- サイドスローでの遠投は厳禁
これまでに説明したこと以外にも、オーバースローやスリークォーターではコントロールの悪かった選手や結果を残すことの出来なかった選手がサイドスローに転向したケースも多く存在します。
また、左打者に好打者が多い現代野球において、右投手がサイドスローを取り入れる場合にはシンカーやシュートなど打者から逃げていく変化球を習得することも必要となるでしょう。
潮崎や斎藤が先発投手として好成績を残せた理由もこれらの変化球があったからだと言えます。
サイドスローが持つメリットとデメリットを十分に理解することが、サイドスローを用いる時にはとても大切なことなのです。