メジャーリーグ

【野球】メジャーリーグのFA制度はどういう仕組なのか解説!

野球のオフシーズンになると、よくフリーエージェント(FA)という言葉を耳にします。

FAとは、特定のチームの支配下に置かれておらず、全てのチームと契約を結ぶことができる状態の選手のことを指します。

FAに関しては様々な制度が定められていますが、日本球界とメジャーリーグでは制度が大きく異なります。

今回の記事では、メジャーリーグのFA制度について、日本球界の制度と比較しながら解説します。

メジャーリーグのFA制度

メジャーリーグのFA制度には、選手がメジャーリーグに在籍した期間(サービスタイム)が関係しています。

サービスタイムは選手がアクティブ・ロースター(メジャーリーグでプレーすることが可能となる選手枠)に登録されていた日数をもとに算出されるものであり、172日間登録されると1年に換算されます。

このサービスタイムが6年(1032日間)に達すると、選手は自動的にFAとなり、ワールドシリーズ終了の5日後から全球団と契約することが可能となります。

なお、故障や出場停止により、アクティブ・ロースターから外れていても、サービスタイムは加算されます。

これは、故障のためFAになるのが遅くなることを防ぐためです。

以上がFAの大まかな制度ですが、他にもFAには細かい制度や慣例があります。

ノンテンダーFA

選手が自動的にFAとなるのは、サービスタイムが6年に達したときですが、6年に達するより前にFAとなることがあります。

これは、チームが選手に来シーズンの契約を提示しなかったことによるFAであり、ノンテンダーFAと呼ばれています。

メジャーリーグの選手は、サービスタイムが3年に達すると、年俸調停権を獲得します。

また、サービスタイムが2年以上3年未満で、シーズン中にアクティブ・ロースターに登録されていた日数が86日以上である選手のうち、サービスタイムの長さが上位22%となる選手も、年俸調停権を獲得します。

選手が年俸調停権を獲得すると、年俸が大幅に上昇する傾向があります。

しかし、選手が年俸の上昇に見合っていないとチームにより判断された場合、来シーズンの契約が提示されず、FAとなります。

これがノンテンダーFAという制度です。

ただ、ノンテンダーFAの場合、選手は「大幅な年俸の上昇に見合っていない」と判断されただけなので、最終的にはより低い年俸で契約することが多くあります。

契約の特例によるFA

日本球界で活躍した選手がメジャーリーグに移籍した場合、サービスタイムが6年に達していなくても、FAになることがあります。

例えば、2018年からアリゾナ・ダイヤモンドバックスに在籍していた平野佳寿は、2019年のシーズン終了後にFAとなりました。

これは、ノンテンダーFAではなく、契約の特例によるFAです。

選手が日本球界から移籍する場合、サービスタイムが6年に達していなくても、契約満了後にFAになるという条項を契約に含めることがあります。

これにより、サービスタイムが6年に達していなくても、FAになることで他のチームからより良い契約を得ることが可能になるため、選手にとってはアドバンテージとなります。

FAとなるのを遅らせる方法

サービスタイムが6年に達した場合、選手は自動的にFAとなり、他のチームと契約することが可能となります。

一方で、優秀な選手に長く在籍してほしいと考えるチームは、選手のFAを遅らせようとします。

その方法の1つが、選手のデビューを遅らせることです。

ある選手がシーズンの開幕直後にデビューを果たし、マイナーリーグに降格することなくプレーを続けた場合、6年目のシーズンの終わりにFAとなります。

しかし、選手のデビューを少し遅らせた場合、1年目のサービスタイムが1年に満たなくなるため、FAとなるのは7年目のシーズンの終わりとなります。

これにより、選手のFAを1年遅らせることができますが、選手の機会を奪っているという批判もあるのが現状です。

また、FAを遅らせるもう1つの方法として、サービスタイムが6年に達する前に次の契約を結ぶということが挙げられます。

これにより、選手がFAとなるのは、長期契約が終わったあととなります。

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クオリファイング・オファーとは?

以上のようなメジャーリーグのFA制度と大きく関わっている制度として、クオリファイング・オファーというものがあります。

クオリファイング・オファーとは、チームがFAとなる選手に提示することができる契約であり、メジャーリーグの選手の年俸上位125選手の平均と同額の1年契約となっています。

2019年のオフシーズンの場合、その額は1780万ドルでした。

選手がクオリファイング・オファーを拒否して他のチームと契約した場合、クオリファイング・オファーを提示したチームは、移籍先のチームよりドラフト上位での指名権を得ることができます。

なお、このクオリファイング・オファーを選手が承諾することは稀であり、今まで提示した延べ90件のうち、承諾されたのはわずかに8件のみとなっています。

これは、1年契約という条件が、必ずしも選手にとって良い条件とは言えないからです。

また、提示するチームは、クオリファイング・オファーにより選手が残留することより、移籍によってドラフト指名権を得ることを目的としている傾向があります。

日本球界のFA制度との違い、比較

以上のようなメジャーリーグのFA制度は、日本球界のFA制度と大きく異なっています。

まず、日本球界の場合、FAの権利を取得しても、行使せずにチームに残留することが多くあります。

しかし、メジャーリーグでは行使の是非を選手が選択することはできず、自動的にFAとなります。

また、日本球界では、FAの選手を獲得した場合、前のチームに人的補償の選手が移籍する場合があります。

しかし、メジャーリーグではクオリファイング・オファーによるドラフト指名権のやり取りが人的補償の代わりとなっており、選手が移籍することはありません。

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選手のFAについて調べる方法

最初の見出しで解説したように、メジャーリーグのFA制度には、選手のサービスタイムが大きく関係していました。

このサービスタイムは、Baseball Referenceというサイトで確認することができます。

以下の画像は、Baseball Referenceの選手のページです。

この画像のうち、Service Timeと書かれている欄にサービスタイムが記載されています。

この画像のコディ・ベリンジャーのサービスタイムが2.160であり、FAとなるのは2023年と2024年の間のオフシーズンということが分かります。

⇒ Baseball Reference

まとめ

MLBのFA制度まとめ!
  • メジャーリーグでは、選手のメジャーリーグ在籍期間(サービスタイム)が6年に達したとき、選手は自動的にFAとなる。
  • FAとなった選手に、チームはクオリファイング・オファーを提示することができ、拒否されて他球団に移籍した場合は、ドラフト上位の指名権を得ることができる。
  • 日本球界の異なり、FAの権利を行使しないことや、FAの選手獲得により人的補償の選手を移籍させることはない。
  • 選手のサービスタイムはBaseball Referenceで確認することができる。



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