まずはじめに、投球フォームは大きく4つの投げ方に分類することが出来ます。
- オーバースロー
- スリークウォーター
- サイドスロー
- アンダースロー
野球が日本に伝来したのは1870年代。
今日のようなマウンドはなく、平たんな場所に「投手ボックス」と呼ばれる四角形の枠があり、投手はその中からボールを投げていました。
当時は「打者の要求する高さにボールを投げること」が投手の役割であったため、ちょうど腕を振り子のようにして下からボールを投げてあげるというものでした。
野球発祥の国である米国では、1872年に下手から肘を曲げて投球する「アンダースロー」が認められると、1881年には「サイドスロー」、そして1884年に「オーバースロー」による投球が認められるようになりました。
オーバースローとは?
オーバースローが日本に伝来したのは、1890年という説と1895年という説の両方が存在しますが、1897年にはボールに大きな力を与えるために胴体を二塁側に倒した後、本塁側に倒し返すという胴体の反動を用いた投球が主流となり、これが現在のオーバースローの原型と言われています。
オーバースローについては明確な定義は存在しませんが、辞書などには、次のように書かれています。
肩より上に挙げた腕を振り下ろして球を投げる投げ方。上手投げ。
(※goo辞書引用)
この言葉だけだとスリークウォーターもこれに該当してしまいますが、スリークウォーターは、オーバースローとサイドスローの中間でややサイドスロー寄りという定義があるため、それより高い位置で腕を振り下ろす投げ方をオーバースローと解釈することが出来ます。
それでは、このオーバースローを用いているのはどんな選手でしょうか?
オーバースローを用いている選手
- 松坂大輔(埼玉西武ライオンズ)
- 前田健太(ロサンゼルス・ドジャース)
- 野茂英雄(ロサンゼルス・ドジャースなど)
- 佐々木主浩(シアトル・マリナーズなど)
オーバースローを用いた選手に共通している点は、キレのあるストレートと変化球を得意としている選手が多い事。
松坂や前田はスライダー、野茂や佐々木はフォークボールを得意球としていました。
勝利 | 敗戦 | セーブ | 防御率 | 奪三振 | 与四死球 | |
松坂大輔 | 114 | 65 | 1 | 3.04 | 1410 | 65 |
前田健太 | 97 | 67 | 0 | 2.39 | 1233 | 319 |
野茂英雄 | 78 | 46 | 1 | 3.15 | 1204 | 19 |
佐々木主浩 | 43 | 38 | 252 | 2.41 | 851 | 10 |
※NPBでの成績
オーバースローのメリット
- ストレートにキレが出る
- 変化球のキレが増す
オーバースローはボールを指先から離す瞬間(リリース)に、ボールにキレイな縦の回転を与えるため、伸びのあるストレートが投げやすくなります。
また、腕を縦に振り下ろすため、縦の変化球は鋭く変化する傾向にあります。
オーバースローのデメリット
- 体感が弱いと怪我をしやすい
- コントロールがつけにくい
体感が安定していないと「オーバースロー=上から投げる」という意識が強く働くため、左右の肩を結んだ線よりも高く肘をあげてしまい、結果、肩を痛めてしまいます。
また、体感が不安定だとリリースポイントも安定しないため、コントロールがつきにくくなります。
オーバースローのコツとは
オーバースローを用いるためには、とにかく体幹を鍛えることです。
体幹を鍛えることによりブレない体をつくることができ、パフォーマンスの向上をはかることが可能となります。
動画は4種目を2分間ずつ計8分間のトレーニングとなります。
2分間同じ姿勢を保つことは最初は大変ですが、慣れればあっという間に終わります。
このようなトレーニングは、好きな音楽を聴きながら行うことをお勧めします。
まとめ!
- 伸びのあるストレートが投げられる
- 縦に落差のある変化球に効果的
- 怪我やコントロール難のデメリット
- 体幹を鍛えることが重要
オーバースローを用いるためには、怪我の予防のためにも体幹トレーニングが必要です。
その上で、ストレートに伸びがなく悩んでいる方や縦の変化球を持ち球にしたい方などは、このオーバースローを取り入れてみるのも1つではないでしょうか。