高校野球の強豪校

【高校野球】21世紀枠とは?歴代の印象的だった高校を紹介!

春の甲子園、センバツ高校野球では21世紀枠という出場校選出方法が2001年春の大会から設けられています。

戦績のみで選出はややハードルがある学校でも活動内容を評価して甲子園出場の機会を与えるという趣旨でスタートしました。

実際に評価基準となるのは部員不足や過疎地域といった困難を克服したり、ボランティア活動など地域貢献などの活動になります。

選出候補となるには都道府県大会でベスト16または32以上(大会の出場校数による)が条件とされ、各県から1校を候補で選出後に複数県のエリア単位から最終的に3校が選出されます。

実際に選出された高校の顔ぶれは前述のような条件に合致する以外に災害に見舞われながら活動するケースやかつて甲子園出場経験のある伝統校や実習と両立する実業系高校などが多くみられます。

21世紀枠の制度が導入された実際の背景といわれる要素として、90年代以降に各地域ともに私学の強豪校が甲子園出場を占める状況が増えたこと、またその要因の1つが地方の私学に他県からの選手が進学して突出した実力のチームを構成するケースが多くみられるようになりました。

そのなかで、地域で育った選手が集まった地元高校の甲子園出場チャンスが減ってしまうこと、文武両道を実践する高校や実習に追われる実業系高校の選手が限られた時間で練習に取り組む状況に報いる方法として検討されたのではとの声もあります。

 

2019年春のセンバツで平成までの21世紀枠出場校を振り返ると、この枠で出場後に春夏の甲子園に実力(戦績)によって再び土を踏んだのは宜野座(当年夏)、鵡川、華陵(翌年夏)、彦根東、山形中央(当年夏)と51校中で5校です。いずれも選出の段階で地区大会まで進むほどの戦績を残していますので経験を土台にしたともいえます。

一方で出場からまだ数年も経過していない学校を評価するのは時期尚早でしょうが、やはり地域に強豪の存在があるなどで実力だけでは難しい学校へ多くチャンスを与えている事実もあります。

様々な議論があるなかで、球数制限の導入などが決まった場合にどのような戦いを求められるのかなど今後の動きが気になります。

印象的だった21世紀枠出場校
  • 本大会でベスト4進出 宜野座高校(沖縄)
  • ライアン小川が力投 成章高校(愛知)
  • 都会っ子が浴びた洗礼 小山台高校(東京)
  • 野球のルーツ校 松山東高校(愛媛)
  • エースの大熱投 石岡第一高校(茨城)

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宜野座高校

21世紀枠導入最初の年に安積(福島)とともに選出されたのは宜野座高校でした。

選出理由は前年の秋季沖縄県大会で優勝を果たし、九州大会では0-1の惜敗でベスト8という結果でした。

一般選考からは惜しくも漏れてしまいましたが、選手全員が地元中学出身で地域貢献にも積極的に取り組んでいることが評価されました。戦績をみても十分に実力はあったといえますが、実際にセンバツに出場すると延長戦を含む接戦を制してベスト4まで進出しました。

準決勝では仙台育英に敗れましたが監督の指導によって生み出された独特の「宜野座カーブ」という勝負球で強豪校を相手に見事な戦いを演じました。

また、夏の県大会も制すると今度は文句なしの実力で同じメンバーが甲子園の土を踏むことになります。

そして夏の甲子園では初戦でセンバツで敗れた仙台育英を相手に7-1で勝利して見事にリベンジを果たします。

甲子園まであと一歩という位置にあったチームが出場のチャンスを得たことで、大舞台で結果を残せたことが夏の県大会でも優勝し、再び甲子園に来ることになった大きな契機になったといえます。

~2001年~

【2回戦】

宜野座高校 7-2 岐阜第一高校

【3回戦】

宜野座高校 4-3 桐光学園高校

【準々決勝】

宜野座高校 4-2 浪速高校

【準決勝】

宜野座高校 1-7 仙台育英高校

 

結果:ベスト4

【沖縄県】高校野球の強豪校、特徴と実績などを紹介!

成章高校

愛知県立成章高校は選出当時で創部100年を超える県立の伝統校であり、私学の強豪が居並ぶ愛知県で上位進出を続けていました。

学校が渥美半島にあり、試合会場への移動も長時間かかるなかでの躍進が選出の理由でした。実際に秋の県大会では享栄、愛産大三河に勝利して愛工大名電に2点差で惜しくも敗退、東海大会出場をかけた決定戦でも中京大中京に接戦で敗れるという私学強豪と互角に戦いながらもあと少しという戦績です。

全国的には特に知られた高校ではありませんでしたが、当時のエースが後にプロ野球で新人王を獲得する「ライアン」こと小川投手でした。投球フォームはまだダイナミックなものではありませんでしたが、常連校であった駒大岩見沢を相手に勝利を飾ると、2回戦でも平安に対して1点差敗退と堂々たる成績を残しました。

小川投手は大学でのさらなる努力で投球フォームを確立してプロ入りしましたが、21世紀枠選出校から球界を代表する投手が生まれたことも甲子園での経験が大きな自信になったと考えるとこの枠の新たな意義を感じます。

~2008年~

【1回戦】

成章高校 3-2 駒大岩見沢高校

【2回戦】

成章高校 3-2 平安高校

 

結果:2回戦敗退

【愛知県】高校野球の強豪校、特徴と実績などを紹介!

小山台高校

21世紀枠での出場校は各地域の大会を勝ち上がってきた代表校と対戦するなかで苦戦を強いられる方が多いのです。

小山台高校は都立高校として初のセンバツ出場をこの21世紀枠で果たしました。やはり伝統ある進学校ですが都内の中心部に立地しているためグランドは狭く、定時制を持つために夜間は練習ができないという限られた環境で都大会の上位常連校となっていたことが評価対象でした。直近の秋季都大会はベスト8です。

まさに都会らしい高校が選出される点では21世紀枠でも新たなタイプのチームが登場となりました。そしてセンバツ初戦で対戦したのは近畿大会でベスト4、府大会では大阪桐蔭を大差で下している履正社高校でした。

いきなり優勝候補との対戦で、好投手といわれたエースも満塁ホームランを含む大量得点を奪われると履正社のエースの前に完封されてしまい11-0で敗れました。

甲子園の慣れもあるでしょうが、やはり実力差を感じさせられた試合でもありました。結果、履正社は秋の近畿大会で敗れた龍谷大平安に再度決勝で敗退するも準優勝となりました。

しかしながら小山台のエースは最後まで甲子園のマウンドを守り切り、卒業後も大学~社会人野球と上のレベルを目指して努力を続けている姿は思わず応援したくなります。

~2014年~

【1回戦】

小山台高校 0-11 履正社高校

 

結果:1回戦敗退

【東京都】高校野球の強豪校、特徴と実績などを紹介!

松山東高校

野球の名付け親といわれる正岡子規が学んで野球部の前身チームを創部したといわれる旧制中学がルーツになる伝統校です。

前年夏、秋の県大会で準優勝を果たしており、秋は四国大会まで進出しました。

文武両道を実践する古豪であり、進学校としても知られる存在であったことから21世紀枠に選出されています。

この枠では、わりと選出の多い「伝統進学校」であったのですがセンバツでは初戦で前年夏の甲子園出場を果たしている東京・二松学舎大付と対戦します。相手は後に高卒で巨人入りする大江投手を擁する上位進出候補でしたが、大応援団をバックに中盤から打線がつながって勝利をあげました。

2回戦でも準優勝した東海大四と接戦を演じています。この勝利は強豪相手にも臆せず戦った選手の活躍はいうまでもありませんが、それを後押ししたのはセンバツ82年ぶりの出場はブランク最長期間ともいわれ、伝統校ゆえに卒業生のネットワークが強いことで地元からはもちろん出身者も多く住む関西はホームのような雰囲気でアルプススタンドは超満員となっていました。

甲子園独特の判官びいき、といえるのか公立、非常連校、前評判が高くないといった要素が松山東への大きな声援となって押し寄せました。

~2015年~

【1回戦】

松山東高校 5-4 二松学舎大付属高校

【2回戦】

松山東高校 2-3 東海大四高校

 

結果:2回戦敗退

【愛媛県】高校野球の強豪校、特徴と実績などを紹介!

石岡第一高校

石岡第一高校は茨城の県立校で、園芸など農業系の学科も持つ伝統校です。

部員は造園や園芸の実習で草花を育てるなど時間的な制約を受けながらも県大会で強豪校を相手に上位進出を続けていたことが評価されました。

前年夏に秋田・金足農業高校が旋風を巻き起こして甲子園準優勝を飾ったことで、農業系高校に全国的な期待と応援が寄せられました。実力としてもエースの岩本投手は140キロ超を投げる本格派で、地元中学時代から注目される素材のため強豪私学からも声がかかるなかでチームメイトともに石岡第一へ入学しています。

センバツの初戦では甲子園常連の盛岡大付属高校との対戦でした。岩手県内では常にライバル花巻東高校との息詰まる戦いを繰り広げており、秋の大会でも延長13回の接戦を制してセンバツにつなげていました。

まったくの全国初陣である石岡第一でしたが、岩本投手が評判通り、いやそれ以上の力投で9回まで相手打線を0点に抑えます。味方は相手エラーも絡んで9回までに2得点、最終回を凌げばという9回裏に追いつかれると延長11回満塁の場面で岩本投手のバックホームが逸れてサヨナラ負けとなりました。

最後は力尽きたものの、投球内容は見事であり、最後はチームメイトもやりきった表情を見せていました。

やはり投手の力量によって好試合が展開されること、そしてこのチームの軸であるエースの力投と支えるバックの守備陣は深く印象に残りました。

~2019年~

【1回戦】

石岡第一高校 2-3 盛岡大付属高校

 

結果:1回戦敗退

【茨城県】高校野球の強豪校、特徴と実績などを紹介!

21世紀枠まとめ!

21世紀枠が導入されて以降年数を重ねたことで、春夏ともに甲子園未経験の高校や全国舞台まで長いブランクを経たチーム、小さな町から在校生や部員が少ない野球部まで多くの学校が甲子園の土を踏みました。

大会での結果だけでない要素を含めて全国から限られた学校へチャンスが与えられるため、その選出方法や選考過程には賛否両論あるところです。また時勢によって、話題のあった地域や社会的に注目される事象に関連性が高いなどの影響も加味される事例もみられます。

一般選考と異なるのは違うエリアの学校とそれぞれの特長を考慮して成否が分かれることでしょう。ファンの間でも実施については毎年議論を呼ぶことになりますが実際に戦績をみると、大会結果のみでは選出が厳しいチームもあるために苦戦を強いられているケースが多数です。

しかしながら、出場できることを意気に感じて練習に取り組んだり地域の熱心な応援に押されて前評判を覆す結果を残したり、その後の大会や選手の成長につながった事例も出ているため今後もその戦いぶりから目が離せません。

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