0アウト満塁!
この状況で、攻撃側はどのような展開を考えるでしょうか?
逆に、守備側はどのような展開を考えるでしょうか?
多くの場合、攻撃側であれば、「よし、最低でも1点は確実に入るな!」や「大量得点の大チャンス!」と考え、守備側であれば、「点を取られる!」や「大量点を取られてしまう大ピンチ!」と考えるのが普通だと思います。
その反面、攻撃側であればネガティブに、守備側であればポジティブな考え方を持たれる方もいるかも知れません。
その最大のプレーが、「トリプルプレー」です。
それでは、そのトリプルプレーについて、どのようなパターンがあるのかを動画を交えながら紹介していきたいと思います。
オーソドックスなトリプルプレー
トリプルプレーとは、アウトカウントがなく(0アウト)、塁上に最低でも2人以上の走者がいる場合に発生する可能性があるプレーです。
そのため、特に走者が一・二塁の場面や満塁のように、塁が詰まっている状態(=インフィールドフライが適用される状態)で起こることが多いのが特徴です。
読売ジャイアンツが4-1と3点をリードし、迎えた3回表の横浜ベイスターズの攻撃。
0アウト一・二塁のこの場面で、横浜ベイスターズは3番の内川選手に打席が回り、その後も4番村田選手へと続く絶好の場面です。
横浜はこの場面で送りバントの作戦は取らずに強硬策に出ます。
(送って二・三塁とし、次打者が安打を放っても2得点止まりとなってしまい同点にならないため。と解説の江川卓氏は話をしていました。)
送りバントがないことを察したジャイアンツバッテリーは、右側(特にライト側)への打球を打たせないように内角を攻める投球をします(初球もインコースへ投球しています)。
なぜ、右側への打球はいけないのでしょうか?
それは、右側への安打となってしまった場合に、二塁走者がホームインするだけでなく、一塁走者が三塁に進塁する可能性が高くなってしまうからです。左側(特にレフト側)への安打であれば、長打でない限り一塁走者の三塁への進塁は防ぐことが出来ます。
結果は動画をご覧になっていただいた通りです。
インコースのボールを引っ張りに掛かった内川選手の打球は、三塁ベース付近へのゴロとなります。捕球した選手が三塁ベースをそのまま踏み1アウト、そのボールをセカンドベースカバーに入った選手に送球し2アウト、その後、1塁に送球して打者走者の内川選手までもがアウトとなり3アウト。
トリプルプレーの成立です。
この結果を受け、「素直に送りバントをしておけばトリプルプレーにはならなかったのに!」「大量得点への欲を出すからだよ!」と思われた方へ、同様のシチュエーションからの送りバントをトリプルプレーにしたケースも紹介します。
当時、PL学園のエースであった桑田選手のダイビングキャッチがきっかけとなったトリプルプレーです。走者の判断もこのプレーを生んだきっかけにはなっていますが、見事なプレーでした。
このケースでは、バントによる飛球のためインフィールドフライは適用されません。
プロ野球選手であれば知っていて当然のことですが、そのことをしっかりと頭に入れ、ファールボールにならないようにショートバンドで捕球した矢野選手のナイスプレーが生み出したトリプルプレーと言えます。
ここまで例として挙げたトリプルプレー以外にも、様々な方法でトリプルプレーが成立しています。
レアなトリプルプレー集
トリプルプレーまとめ
- 攻撃側にとっては最悪であり、守備側にとっては最高のプレー
- 0アウトで塁上に2人以上の走者がいる場合に起こる
- 様々な種類のトリプルプレーがある
一瞬でチャンスがなくなり、一瞬でピンチを脱するトリプルプレー。
トリプルプレーとは、攻撃側にとっては「天国から地獄」、守備側にとっては「地獄から天国」と表現するに値するプレーなのです。