2019年、ミネソタ・ツインズの打線は、メジャーリーグ新記録となる307本塁打を記録しました。
この打線は、「ボンバ・スクワッド(The Bomba Squad)」と呼ばれ、他球団から恐れられていました。
しかし、近年のメジャーリーグでは本塁打が急増しており、ツインズの本塁打数が圧倒的に多いわけではありませんでした(2位のニューヨーク・ヤンキースは306本)。
そのため、2019年のツインズの打線が、メジャーリーグ史上最強の打線だったとは言い切れません。
そこで、今回の記事では、メジャーリーグの歴史に残った強い打線を、ランキング形式で紹介します。
メジャーリーグの打線ランキング
7位:ハーベイズ・ウォールバンガーズ(Harvey’s Wallbangers)
ハーベイズ・ウォールバンガーズとは、1982年のミルウォーキー・ブルワーズのニックネームです。
このニックネームの由来となったハーベイ・ウォールバンガーとはカクテルのことであり、このチームの監督がハーベイ・キーンという名前だったことから、このニックネームが付きました。
選手 | ポジション | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS |
テッド・シモンズ | C | 23 | 97 | .269 | .759 |
セシル・クーパー | 1B | 32 | 121 | .313 | .870 |
ジム・ガントナー | 2B | 4 | 43 | .295 | .704 |
ロビン・ヨーント | SS | 29 | 114 | .331 | .957 |
ポール・モリター | 3B | 19 | 71 | .302 | .816 |
ベン・オグリビー | LF | 34 | 102 | .244 | .780 |
ゴーマン・トーマス | CF | 39 | 112 | .245 | .850 |
チャーリー・ムーア | RF | 6 | 45 | .254 | .659 |
ロイ・ハウエル | DH | 4 | 38 | .260 | .655 |
この打線の中心だったのは、通算3000安打を成し遂げたヨーント(3142安打)とモリター(3319安打)で、2人ともアメリカ野球殿堂入りを果たしています。
また、シモンズも好打の捕手として通算2472安打を記録し、2020年にアメリカ野球殿堂入りを果たしました。
下の動画は、ブルワーズがワールドシリーズ進出を決めたことのものです。
6位:ブロンクス動物園(The Bronx Zoo)
ブロンクス動物園とは、1977年のニューヨーク・ヤンキースのニックネームです。
ヤンキースの本拠地があるニューヨークのブロンクス区には、ブロンクス動物園という世界最大級の動物園があります。
一方、当時のヤンキースは、非常に個性豊かなチームだったため、このニックネームが付きました。
この年には、ヤンキースはワールドシリーズ制覇を成し遂げています。
選手 | ポジション | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS |
サーマン・マンソン | C | 18 | 100 | .308 | .813 |
クリス・チャンブリス | 1B | 17 | 90 | .287 | .781 |
ウィリー・ランドルフ | 2B | 4 | 40 | .274 | .734 |
バッキー・デント | SS | 8 | 49 | .247 | .653 |
グレイグ・ネトルズ | 3B | 37 | 107 | .255 | .829 |
ロイ・ホワイト | LF | 14 | 52 | .268 | .762 |
ミッキー・リバース | CF | 12 | 69 | .326 | .789 |
レジー・ジャクソン | RF | 32 | 110 | .286 | .925 |
カルロス・メイ | DH | 2 | 16 | .227 | .601 |
この打線のうち、レジー・ジャクソンは通算563本塁打を記録し、本塁打王に4回輝いた強打者でした。
また、控えも充実しており、ルー・ピネラは103試合の出場で打率.330、クリフ・ジョンソンは56試合の出場で打率.296を記録しています。
下の動画は、ヤンキースがワールドシリーズ制覇を果たしたときのものです。
5位:リフューズ・トゥ・ルーズ(Refuse to Lose)
リフューズ・トゥ・ルーズとは、1995年のシアトル・マリナーズのニックネームです。
アメリカンリーグのチャンピオンシップシリーズまで進出したことで、このニックネームがつきました。
選手 | ポジション | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS |
ダン・ウィルソン | C | 9 | 51 | .278 | .752 |
ティノ・マルティネス | 1B | 31 | 111 | .293 | .920 |
ジョーイ・コーラ | 2B | 3 | 39 | .297 | .731 |
ルイス・ソーホー | SS | 7 | 39 | .289 | .751 |
マイク・ブロワーズ | 3B | 23 | 96 | .257 | .809 |
ビンス・コールマン | LF | 1 | 9 | .290 | .730 |
ケン・グリフィー・ジュニア | CF | 17 | 42 | .258 | .860 |
ジェイ・ビューナー | RF | 40 | 121 | .262 | .909 |
エドガー・マルティネス | DH | 29 | 113 | .356 | 1.107 |
この打線には、後にアメリカ野球殿堂入りを果たすケン・グリフィー・ジュニアとエドガー・マルティネスがいました。
特に、エドガー・マルティネスは、この年首位打者に輝き、OPSもリーグ1位でした。
下の動画は、マリナーズが地区優勝を決めたときのものです(投手はランディ・ジョンソン)。
4位:イディオッツ(Idiots)
イディオッツとは、2004年のボストン・レッドソックスのニックネームです。
ワールドシリーズを制覇し、バンビーノの呪いを解いたことから、このニックネームがつきました。
選手 | ポジション | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS |
ジェイソン・バリテック | C | 18 | 73 | .296 | .872 |
ケビン・ミラー | 1B | 18 | 74 | .297 | .857 |
マーク・ベルホーン | 2B | 17 | 82 | .264 | .817 |
ポーキー・リース | SS | 3 | 29 | .221 | .574 |
ビル・ミラー | 3B | 12 | 57 | .283 | .811 |
マニー・ラミレス | LF | 43 | 130 | .308 | 1.009 |
ジョニー・デーモン | CF | 20 | 94 | .304 | .857 |
ゲーブ・キャプラー | RF | 6 | 33 | .272 | .700 |
デビッド・オルティーズ | DH | 41 | 139 | .301 | .983 |
この打線には、通算500本塁打を達成したラミレス(555本)とオルティーズ(541本)がいました。
また、デーモンも通算2769安打、235本塁打、408盗塁、打率.284を記録した好打者です。
下の動画は、レッドソックスがワールドシリーズ優勝を決めた瞬間です。
3位:ビッグレッドマシン(The Big Red Machine)
ビッグレッドマシンとは、1976年のシンシナティ・レッズのニックネームです。
1970年代のレッズは黄金時代を迎えており、4度のリーグ優勝、2度のワールドシリーズ制覇を誇ったことから、このニックネームが付きました。
選手 | ポジション | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS |
ジョニー・ベンチ | C | 16 | 74 | .234 | .741 |
トニー・ペレス | 1B | 19 | 91 | .260 | .779 |
ジョー・モーガン | 2B | 27 | 111 | .320 | 1.020 |
ピート・ローズ | SS | 9 | 69 | .281 | .736 |
デーブ・コンセプシオン | 3B | 10 | 63 | .323 | .854 |
ジョージ・フォスター | LF | 29 | 121 | .306 | .894 |
シーザー・ジェロニモ | CF | 2 | 49 | .307 | .795 |
ケン・グリフィー・シニア | RF | 6 | 74 | .336 | .851 |
この打線のうち、ベンチ、ペレス、モーガンの3人はアメリカ野球殿堂入りを果たしており、この3人とローズ、コンセプシオンの5人は、背番号がレッズの永久欠番に指定されています。
下の動画は、レッズがワールドシリーズ制覇を果たしたときのものです。
2位:ボーイズ・オブ・サマー(The Boys of Summer)
ボーイズ・オブ・サマーとは、1953年のブルックリン・ドジャースのニックネームです。
このニックネームの由来は、『ボーイズ・オブ・サマー』というロジャー・カーンの本です。
カーンは1950年代に記者として活動しており、ドジャースに関わっていました。
カーンは『ボーイズ・オブ・サマー』にて、ドジャースの活躍について触れており、これによりドジャースに「ボーイズ・オブ・サマー」というニックネームがつきました。
選手 | ポジション | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS |
ロイ・キャンパネラ | C | 41 | 142 | .312 | 1.006 |
ギル・ホッジス | 1B | 31 | 122 | .302 | .943 |
ジム・ギリアム | 2B | 6 | 63 | .278 | .798 |
ピー・ウィー・リース | SS | 13 | 61 | .271 | .794 |
ビリー・コックス | 3B | 10 | 44 | .291 | .806 |
デューク・スナイダー | OF | 42 | 126 | .336 | 1.046 |
ジャッキー・ロビンソン | OF | 12 | 95 | .329 | .927 |
カール・フリーロ | OF | 21 | 92 | .344 | .973 |
この打線の中では、人種の壁を破ったロビンソンだけでなく、キャンパネラ、リース、スナイダーの4人がアメリカ野球殿堂入りを果たしています。
この年、ドジャースはワールドシリーズにてヤンキースに敗れてしまいますが、2年後の1955年には、ワールドシリーズ制覇を成し遂げることができました。
下の動画はそのときのものです。
1位:殺人打線(ニューヨーク・ヤンキース、1927年)
殺人打線とは、1927年のニューヨーク・ヤンキースのニックネームです。
この年、ヤンキースは110勝44敗という圧倒的な成績を残し、ワールドチャンピオンに輝いたことから、このニックネームが付きました。
選手 | ポジション | 本塁打 | 打点 | 打率 | OPS |
パット・コリンズ | C | 7 | 36 | .275 | .825 |
ルー・ゲーリッグ | 1B | 47 | 173 | .373 | 1.240 |
トニー・ラゼリ | 2B | 18 | 102 | .309 | .866 |
マーク・コーニグ | SS | 3 | 62 | .285 | .702 |
ジョー・デューガン | 3B | 2 | 43 | .269 | .683 |
ボブ・ミューゼル | OF | 8 | 103 | .337 | .902 |
ベーブ・ルース | OF | 60 | 165 | .356 | 1.258 |
アール・コームス | OF | 6 | 64 | .356 | .925 |
打線の中では、ゲーリッグとルースの成績が際立っています。
しかし、この2人だけでなく、ラゼリとコームスもアメリカ野球殿堂に入っており、この打線を原動力に、ヤンキースは1928年と1932年にもワールドシリーズ制覇を果たすなど、黄金時代を築きあげました。
まとめ
- メジャーリーグ史上最強の打線は、1927年のニューヨーク・ヤンキースの「殺人打線」。
- 1955年のブルックリン・ドジャースの「ボーイズ・オブ・サマー」や、1976年のシンシナティ・レッズの「ビッグレッドマシン」も、メジャーリーグの歴史に残る強い打線だった。