皆さんはスイッチヒッターという言葉をご存じでしょうか
スイッチヒッターとは、投手の利き腕に応じて、右打席と左打席の両方の打席に立ちバッティングを行うことができる打者のこと。
一般的には相手の投手が右投手なら左打席に、左投手なら右打席に入ります。
NPBとMLBの違い、スイッチヒッターへの考え方
NPB・MLBともに、スイッチヒッターの数は減少傾向にあります。
しかし、MLBにおいては各チームにスイッチヒッターがいて、その多くが打線に名を連ねていることから規定打席到達者も多くいることが特徴です。
規定打席到達者数 | 右打者 | 左打者 | スイッチヒッター | |
MLB | 146人 | 73人(50%) | 48人(32.9%) | 25人(17.1%) |
一方で、2018年シーズンにおいてNPBではスイッチヒッターで規定打席に到達した選手はいませんでした。
2018年8月時点で、NPB現役選手は育成選手も含めて914人でしたが、その内訳は下記の通りです。
選手数 | 右打者 | 左打者 | スイッチヒッター | |
NPB | 914人 | 506人(55.4%) | 387人(42.3%) | 21人(2.3%) |
単純比較はできないものの、NPBとMLBではスイッチヒッターに対する考え方に大きな違いがあることを読み取ることが出来るのではないでしょうか。
スイッチヒッターのメリット・デメリット
スイッチヒッターのメリット
- 投手のリリースポイントが見やすい
- カーブやスライダーなど、外に大きく逃げる変化球が来ない
- ベンチ入り人数が限られる場合、特異な存在として重宝される
右投手の場合は左打席に、左投手の場合は右打席に立つことで投手のリリースポイントが見やすくなり、打者にとって優位に働きます。
また、外に大きく逃げるように変化をするカーブやスライダーは、スイッチヒッターの場合は内に入ってくるような変化球となるため、泳がされるような打撃になる可能性を低くします。
ベンチ入りの人数が定められているケースにおいては、これらのメリットがあるスイッチヒッターは希少な存在として価値があります。打線を組む際にも、相手投手が右投げ・左投げ関係なく計算できるため、チーム内で重要視される傾向にあります。
スイッチヒッターのデメリット
- とにかく習得が困難なこと。
希少な存在であるということはそれだけ習得難度が高いということです。
スイッチヒッターの有名選手
スイッチヒッターの歴史を遡ると、柴田勲(読売ジャイアンツ)、松永浩美(阪急-オリックス-阪神-ダイエー)、金城龍彦(横浜)、西岡剛(千葉ロッテ)など、素晴らしい成績を残す選手もいましたが、皆さんにとってもっとも身近なスイッチヒッターと言えば、埼玉西武ライオンズの松井稼頭央選手ではないでしょうか。
松井選手は、1997年から7年連続でシーズン170本以上の安打を放つとともに打率は3割以上をマーク。走攻守3拍子を兼ね備えた日本一の遊撃手でした。
試合 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | |
NPB | 1913 | 7190 | 2090 | 201 | 363 | .291 |
スイッチヒッターのルール
同一打席内において、打者は回数の制限なく打席を変更することが出来ます。
「2ストライクになった場合には打席を変更することが出来ない」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかも知れませんが、これは俗説であり、実際にはカウントに関係なく何度でも打席を変更することが可能です。
ただし、回数に制限はありませんが、以下のタイミングで打席を変更した場合、打者はアウトを宣告されます。
- 投手が投球姿勢に入った時
- 投手が投手板に触れて捕手からのサインを見ている時
スイッチヒッターまとめ
- 投手のリリースポイントが見やすいなど打者有利
- 難度が高く習得が困難
- ルールを守れば何度でも打席を変更することが可能
減少傾向にあるスイッチヒッターではありますが、2018年には田中和基(楽天)、2019年には杉谷挙士(日本ハム)が両打席本塁打を記録。
杉谷に至っては2打席連発で、これは長いNPBの歴史の中でも史上3人目の快挙でした。
対戦投手によって起用に打席を変え、独特のプレースタイルとなるスイッチヒッター。
歴代の名選手を凌ぐ新たなスイッチヒッターの登場を期待していきたいと思います。