斎藤隆や上原浩治など、メジャーリーグでクローザーとして活躍した日本人選手は何人かいます。
そのような日本人選手の中で、最も多くのセーブを記録したのは、シアトル・マリナーズでクローザーを務めた佐々木主浩です。
今回の記事では、佐々木のメジャーリーグでの成績や活躍について解説します。
佐々木主浩、メジャーでの活躍
1989年のドラフトで横浜大洋ホエールズに入団した佐々木は、1998年にMVPを獲得するなど、日本球界を代表するクローザーとして活躍していました。
そんな佐々木は、1999年のオフシーズンにFA権を行使し、マリナーズと3年契約を結びます。
やがて、スプリングトレーニングが始まると、佐々木はクローザーの座を見事に勝ち取り、開幕を迎えました。
その後、中継ぎに降格した時期もありましたが、安定してセーブを挙げ続け、最終的に37セーブ、防御率3.16というまずまずの成績を残します。
特に、37セーブは当時の新人記録であり、マリナーズのプレーオフ進出に貢献しました。
その結果、佐々木は2001年にもクローザーとして開幕を迎え、4月だけで13セーブを挙げるなど記録したため、オールスターゲームに選出されます。
オールスターゲームでは9回を三者凡退に抑え、セーブを記録しました。
そして、シーズン最終登板となった10月6日には45セーブ目を記録し、マリナーズのメジャーリーグタイ記録となる116勝目に貢献しています。
最終的に佐々木は、リーグ2位となる45セーブ、防御率3.24という好成績を残しました。
佐々木は2002年にもクローザーとして活躍を続け、37セーブ、自己最高となる防御率2.52を残します。
この年の6月26日のオークランド・アスレチックス戦では、メジャーリーグ史上最速となる160登板で通算100セーブを記録しました。
しかし、2003年には右腰や右脇腹の故障に苦しんだため、クローザーの座を長谷川滋利に譲ってしまいます。
そのため、最終的には10セーブ、防御率4.05という成績にとどまりました。
その後、佐々木は日本球界に復帰するためにマリナーズを退団し、2年13億円という契約で横浜ベイスターズに復帰しています。
佐々木のプレースタイル
佐々木は主に、最速154km/hの速球、フォークおよびカーブを武器としていました。
特に、フォークは落差が大きいうえ、カウントを稼ぐための遅いフォークと、三振を奪うための速いフォークを投げ分けていたようです。
一方で、日本球界ではカーブをほとんど投げていませんでしたが、マリナーズに移籍した後、捕手のダン・ウィルソンより高く評価されたため、カーブを投げるようになりました。
佐々木の年度別成績
年度 | チーム | 勝利 | 敗戦 | 登板 | セーブ | 投球回 | 奪三振 | 防御率 |
1990 | 大洋 | 2 | 4 | 16 | 2 | 47.2 | 44 | 5.85 |
1991 | 大洋 | 6 | 9 | 58 | 17 | 117.0 | 137 | 2.00 |
1992 | 大洋 | 12 | 6 | 53 | 21 | 87.2 | 135 | 2.46 |
1993 | 横浜 | 3 | 6 | 38 | 20 | 55.0 | 84 | 3.27 |
1994 | 横浜 | 3 | 1 | 31 | 10 | 46.0 | 59 | 2.15 |
1995 | 横浜 | 7 | 2 | 47 | 32 | 56.2 | 78 | 1.75 |
1996 | 横浜 | 4 | 3 | 39 | 25 | 49.2 | 80 | 2.90 |
1997 | 横浜 | 3 | 0 | 49 | 38 | 60.0 | 99 | 0.90 |
1998 | 横浜 | 1 | 1 | 51 | 45 | 56.0 | 78 | 0.64 |
1999 | 横浜 | 1 | 1 | 23 | 19 | 23.1 | 34 | 1.93 |
2000 | SEA | 2 | 5 | 63 | 37 | 62.2 | 78 | 3.16 |
2001 | SEA | 0 | 4 | 69 | 45 | 66.2 | 62 | 3.24 |
2002 | SEA | 4 | 5 | 61 | 37 | 60.2 | 73 | 2.52 |
2003 | SEA | 1 | 2 | 35 | 10 | 33.1 | 29 | 4.05 |
2004 | 横浜 | 1 | 2 | 25 | 19 | 22.2 | 18 | 3.18 |
2005 | 横浜 | 0 | 3 | 9 | 4 | 6.0 | 5 | 9.00 |
NPB | 12年 | 43 | 38 | 439 | 252 | 627.2 | 851 | 2.41 |
MLB | 4年 | 7 | 16 | 228 | 129 | 223.1 | 242 | 3.14 |
- SEA:シアトル・マリナーズ
各年度の太字はリーグ最高
佐々木にまつわるエピソード
① 日本人選手の新人王
佐々木のように、メジャーリーグで新人王を受賞した日本人選手は、佐々木を含めて4人います。
受賞年 | 選手 | 受賞年の成績 |
1995 | 野茂英雄 | 13勝6敗、236奪三振、防御率2.54 |
2000 | 佐々木主浩 | 2勝5敗、37セーブ、防御率3.16 |
2001 | イチロー | 打率.350、242安打、56盗塁 |
2018 | 大谷翔平 | 4勝2敗、63奪三振、防御率3.31
打率.285、22本塁打、OPS.925 |
また、以上の選手以外にも、新人王の投票で票を得た日本人選手は多くいます。
例えば、2003年の松井秀喜は、16本塁打、OPS.788という成績を残しましたが、カンザスシティ・ロイヤルズのアンヘル・ベローアが17本塁打、OPS.789と松井をわずかに上回る成績を残したため、新人王投票では2位となりました。
また、2007年の松坂大輔と岡島秀樹は、レッドソックスのワールドシリーズ制覇に貢献しましたが、同僚のダスティン・ペドロイアが打率.317という成績で新人王を受賞したため、投票ではそれぞれ4位と6位になっています。
② セーブの新人記録
佐々木が2000年に記録した37セーブは、当時のメジャーリーグにおけるセーブの新人記録でした。
この記録を最初に更新したのは、2010年のネフタリ・フェリスです。
当時テキサス・レンジャーズに所属していたフェリスは、40セーブを挙げて佐々木の記録を更新しただけでなく、球団史上初のワールドシリーズ進出に貢献し、新人王を受賞しました。
しかし、その記録はわずか1年後に更新されます。
2011年、アトランタ・ブレーブスに所属していた新人のクレイグ・キンブレルが、46セーブを記録し、フェリスの記録を大幅に更新したのです。
キンブレルはこの年に新人王を受賞しましたが、その後も活躍を続け、2020年9月14日の時点で通算348セーブを記録しています。
まとめ
- 佐々木は2000年にマリナーズに入団し、4年間にわたりマリナーズでプレーした。
- 1年目には当時の新人最多記録となる37セーブを記録し、新人王を受賞している。
- 2001年にはオールスターゲームに選出され、セーブを記録した。
- 佐々木は主に、速球、フォークおよびカーブを武器としていた。