テレビでの野球中継などで耳にすることのある「強襲ヒット」という言葉。
ヒット(安打)であることは分かっても、どんな打球が強襲で、エラー(失策)との違いの分岐があるのかどうかなど、解説していきます。
強襲ヒットとは?エラーとの違いは?
そもそも強襲と言う意味をネット検索すると、次のように書いてあります。
「強引に攻めること」
「猛烈な勢いでおそうこと」
※goo国語辞書引用
野球用語としての強襲は、「猛烈な勢いでおそうこと」に該当するのですが、「強襲?」「猛烈?」この違いにも疑問が生まれてしまいます。
公認野球規則の条項9.05に、安打のパターンについての記載があります。
安打には6つのパターンがあります。
- 打球が野手に触れる前に、フェア地域に落下するか、外野フェンスに当たるか越えたために、打者が一塁または先の塁に生きた場合
- 打球が強すぎるか弱すぎたため、野手がその打球を処理する機会がなくて打者が一塁に生きた場合
- 打球が不自然にバウンドしたために、野手の普通の守備では処理することができなくなって、打者が一塁に生きた場合
- 野手に触れないで外野に達した打球によって、打者が一塁に生きることができ、しかもその打球は野手の普通の守備では処理できなかったと記録員が判断した場合
- 野手に触れていないフェアボールが、走者、審判員の身体または着衣にフェア地域で触れた場合
- 打球を扱った野手が、先行走者をアウトにしようとしたが成立せず、しかもその打球では一塁で打者走者をアウトに出来なかったと記録員が判断した場合
強襲安打は、上記の「2」に該当します。
強襲安打とは、「猛烈な勢いの打球によって野手が打球処理に入る機会を得ることが出来ず、野手のグラブまたは体に当たってボールが地面に落ちることによって、打者が一塁に生きた場合の安打」と言い表すことができます。
それでは、どんな打球が猛烈な勢いなのか?野手が打球処理の機会を持てたのかどうか?についての判断は誰がするのでしょうか?
この重要な判断をするのが、記録員と呼ばれる方々です。
打者が一塁に生きた場合に、野球規則に記された安打の6つのパターンのどれに該当するかを判断する役目を担っています。
つまり、この記録員による判断が、安打と失策の分岐点となり、安打となった場合には安打の種類(内野安打、強襲安打、テキサス安打など)を判断する材料となるのです。
記録員とは?
記録員とは、所定の位置で試合の記録をとり、記録に関する規則の適用に関して独自の判断で決定する権限を持つものを言います。
打者が塁に生き残った際にスコアボードにある「H(ヒット)」「E(エラー)」「Fc(フィルダースチョイス)」のランプが点灯しているのを見たことはありますでしょうか?
その判断を下し、ボタンを押しているのが記録員なのです。
記録員の判断によって打者の打率や投手の防御率が変わってくるのはもちろんのこと、ノーヒットノーランなどの記録についても記録員の判断によっては達成できるか否かが変わってくるため、記録員には慎重で正確な判断が求められます。
なお、プロ野球における1つの試合において、記録員はメイン1名とサブ1名の合計2名が配置されています。
強襲ヒットのまとめ
- 投手や野手を猛烈な勢いの打球が襲った際の安打
- 安打であるか失策であるかの判断は記録員が行う
こちらの動画は投手への強襲打球を集めたものになりますが、投手がダイレクトで捕球したり、投手のグラブや体に当たって跳ね返った打球を他の野手が処理した結果、打者走者の一塁への進塁を防いだものもあります。
強襲安打となるのは、フェアゾーンで打者との距離が一番近い投手に対するものが多くなるのも特徴と言えます。
投手の方は十分にお気を付けください。