野球用語

【野球】逆球はなぜ悪い意味で使われるのか?その理由を解説!

野球中継を見ていると、

「逆球はよくありません」

という解説を耳にすることがあるかと思います。

 

逆球は悪い意味で使われるのでしょうか?

 

そもそも逆球とはどういう意味か確認しておきましょう。

ピッチャーが投球する際、キャッチャーの構えるコースとは逆のコースにボールが外れることを指す。例えば、キャッチャーのインコースの要求に対し、実際には投球がアウトコースにいくといった具合。

JLogos引用

逆球に対して否定的な理由とは?

逆球とは、基本的には投手も捕手も意図したコースと反対側のボールになってしまうため、様々な面で悪い影響が出てしまい、危険なボールとなってしまうことが多くなります。

 

では、逆球が与える影響を3つのパターンから解説していきます。

配球が組み立てにくくなる

特にプロ野球の場合は、打者にとって同じ投手との対戦が年間で数打席にもなります。

バッテリーにおいては対戦する打者のデータに合わせて弱点を突く配球を組んだり、逆に打者にとってはバッテリーのデータをもとにその配球を考えたりします。

つまり、バッテリーと打者の間にはデータを元にした「読み合い合戦」が繰り広げられています。

 

捕手は打者を観察し、コースと球種を駆使しながら如何にして打者を抑えることができるかを考えます。

打者を抑えるために配球を組むのですが、そこに逆球が来ることによってそのシナリオは崩れ、配球の練り直しが必要となってしまいます。

被弾の確率が高くなる

先に説明した通り、打者を抑えるための配球であったにも関わらず、逆球はその考えを覆してしまうため、必然的に被弾率が高くなってしまいます。

このように、被弾率が高くなる要因はバッテリー間だけの問題のように思われがちですが、バッテリーだけではなく野手にも大きな影響を与えています。

野手は捕手の構えた位置やサインによって、次にどんな投球をするのかを事前に知ることができます。その情報を元に守備位置を瞬時に変え、打球が飛んで来る確率の高い方向に強く意識を持っていったりしています。

逆球は、野手にとっても逆を突かれることとなり、一歩目のスタートが遅れた結果、安打に繋がる可能性が高くなるといえるのです。

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ストライクボールでもボールと判定されやすい

こういったことを数値化しまとめたデータがあります。

そこでは、「ストライクゾーンの逆球はボールと判断される可能性が高い」と結論付けています。

また、逆球の中でも低めのボールで判定されることが多いとされています。

 

逆球は審判目線では明らかな投げ損ないです。

これが特に判定の微妙なコースに来てしまった場合、投げ損ないであることが意識に作用してボールとコールされやすくなっていると考えられています。

このことは審判の心像として、例えば「3ボール0ストライクでは際どいボールがボールと判定される可能性が低くなり、0ボール2ストライクでは逆になる」というMLBで報告された事実と同じで、ボールが通過した位置以外のものが判定に影響を与えているといえます。

作戦としての逆球

本来、逆球は捕手の構えたコースとは逆のコースにボールが投げられることであり、投手も捕手も意図していないものです。

しかし、この逆球を意図的に取り入れたケースがあります。

 

それが国際大会です。

2004年のアテネ五輪の予選リーグでキューバと対戦した日本は、先発した松坂大輔が8回1/3を投げ3失点に抑える好投を見せました。

しかしそれは、「モーションに入ると相手ベンチからコースを教える声が上がった」という中での投球でした。

そんな経験を逆手に取ったのが、2009年の第2回WBC。

2次ラウンドで再びキューバと対戦した時。

 

相手がコースなどを伝達していることに気付くと、試合の途中から捕手の城島の構えたところと、わざと逆に投げ、6回5安打無失点に抑えたのです。

本来、打者には投手がどこのコースに投げるかは分かりません。

対戦の多いプロ野球ではデータを元に「読む」ことは出来ても、打者から見ると逆球が与える影響はプラスの面が多いと考えられます。

しかし、対戦数の少ない相手で、且つコースを教えられた打者にとっては、逆球はまったく意図しない投球であり、打つことが非常に難しいボールになるのです。

※2分13秒 捕手の城島が内角に構え、松坂が投球モーションに入ると「ワ~」という声が聞こえます。2回からは城島もカウントによって構えるのを遅らせたり、松坂もわざと逆球を使ったりしているのが見て取れます。

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逆球まとめ!

逆球まとめ
  • 配球が組み立てにくくなる
  • 被弾率が高くなる
  • ボールと判定されやすい

少し話は反れますが、二出川延明という審判がいました。

「俺がルールブックだ」と有名な語録を残した方です。

1956年の試合で、投手が3ボール0ストライクからカウントをとるためにど真ん中に軽く投げ込んだ直球をボールと判定し、捕手の野村克也が猛抗議したという出来事がありました。

その時に二出川は「気持ちが入ってないからボールだ」と一喝したとされています。

また、名投手の稲生和久が新人だったころにも同じようなことがあり、ど真ん中のストライクボールをボールと判定され抗議をしたところ、「新人の君に教えといてやる。プロの投手にとってど真ん中はボールなんだ」と答えたとされています。

 

「ボールが通過した位置以外のものが判定に影響を与えている」と説明してきましたが、これらの二出川のエピソードは当時の時代背景の中で許されたもので、明らかな越権行為であったことは言うまでもありませんね。



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