野球用語のギャンブルスタートとは、三塁走者が本塁でアウトになるかもしれないというリスクを承知の上で、打者の打球を見ずにホームに突入するという作戦のことです。
そもそもギャンブルスタートとはどんな場面で使える戦術なのでしょうか?
また、ランナーや打者が気を付ける点は?
作戦のメリットとデメリットは?など
ギャンブルスタートという戦術について詳しく解説します。
ギャンブルスタートの戦術について
ギャンブルスタートとは、三塁にランナーがいる状態で、ノーアウト、もしくは1アウトの状態で行う戦術です。
本来であれば、ランナーは打者の打球の行方を確認してからスタートを切ります。
(ライナーや小フライであればゲッツーの危険性があるので)
しかし、ギャンブルスタートという戦術では、ランナーは打者の打球を判断することなく、打球が前に飛んだと判断すれば迷わずにスタートを切ります。
そうすることでランナーは通常よりも早くスタートを切ることになるので、平凡な内野ゴロであってもホームでセーフになる確率が高まります。
なんとしても、得点を取りたいという場合に有効的です。
このギャンブルスタートについては、元ヤクルトの監督を務めていた、ノムさんこと野村克也氏が考案した作戦であると言われています。
1993年、西武対ヤクルトの日本シリーズ。
1アウト3塁の場面から古田選手がギャンブルスタートを決めて、貴重な追加点をとった場面が有名です。
西武の守備陣は前進守備をひいていました。
ランナーはスタートを躊躇していたら、ホームには帰れなかったことでしょう。
そして、ヤクルトはこの試合に勝利し日本一を勝ち取ったのでした。
このプレーによってギャンブルスタートは脚光を浴びますが、この戦術が生まれるきっかけとなったのは前年1992年のこと。
この年もヤクルト対西武による日本シリーズでした。
シリーズ第7戦。
7回裏1-1の同点、1アウト満塁の大チャンス。
得点することができればヤクルトの日本一が見えてくる。
そんな場面でした。
3塁走者の広沢選手はスタートの判断に迷ってしまい、ホームでアウトとなってしまいます。打球がライナーのように見えたことによりスタートが遅れたようです。
そして、得点機を失ったヤクルトはそのまま西武に敗れてしまい日本一を逃すこととなったのです。
このプレーをきっかけに、場面によっては3塁ランナーは打球判断をすることなくスタートを切るという「ギャンブルスタート」という戦術が考えられたようです。
しかし、ギャンブルスタートは必ず成功するわけではありません。
失敗すると最悪の結果にもなります。
3塁走者がギャンブルスタートしており、ライナーの打球に戻ることができずダブルプレーからの試合終了となってしまった場面です。
リスクを背負っての戦術なのでしかたありませんが、応援していたファン心理とすると…
なんだかモヤっとしますね。汗
成功すれば得点し、失敗すれば最悪の結果になるからこそギャンブルスタートなのです。
ギャンブルスタートで打者、走者が気を付けること
3塁走者は、リスクを承知の上でスタートを切ります。
スタートが遅れてしまえば、ギャンブルスタートの意味がなくなりますので、スタートは非常に大切です。
バットにボールが当たった瞬間にスタートを切るという意識が重要です。
打者が気を付ける点については、確実に転がすということです。
ランナーはバットにボールが当たった瞬間にスタートを切っているわけですから、ライナーやフライの場合にはダブルプレーになってしまうというリスクが非常に高くなります。
3塁走者を信じて、ゴロを転がすという意識が大切です。
ギャンブルスタートのメリット、デメリット
ギャンブルスタートのメリットは、成功すれば内野ゴロで1点を取ることが出来るという点です。
ここぞという勝負所でなんとか点を取りたいという場合に非常に有効です。
特に試合終盤になってくるとセットアッパー、クローザーの投手が出てくることになり、なかなかヒットで得点することが難しくなります。
そんなときに、内野ゴロで1点が取れるかもしれない。という「ギャンブルスタート」は有効的な作戦といえます。
デメリットは、ダブルプレーになるリスク、チャンスが潰れるというリスクがあるということです。
バッターがライナーやフライを打った場合には、スタートを切っているので、戻れない確率が高くダブルプレーになるケースが多いです。
メリット…ヒットではなく、内野ゴロで1点を取ることができる。
デメリット…ダブルプレーの危険性がある。
ギャンブルスタート、ゴロゴーの違いについて
ギャンブルスタートと似た戦術として、ゴロゴーというものがあります。
ゴロゴーとは、三塁にランナーがいる時などに使う戦術で、バッターが打った打球がゴロだったらスタートを切るというものです。
ギャンブルスタートの場合には、ゴロでもライナーでもなんでもスタートを切るので、スタートのタイミングがまったく異なります。
スタートの速さでいうと、ゴロゴーよりも速いということになります。
ゴロゴーの場合には、ライナーやフライなどの場合にはスタートを切らないので、ダブルプレーになるリスクは低くなります。
絶対に点を取りたいという場合には、ギャンブルスタート。状況によって得点を狙うなら、ゴロゴーという作戦が良いでしょう。
得点のしやすさ
(ギャンブル)>(ゴロゴー)
リスクの大きさ
(ギャンブル)>(ゴロゴー)
まとめ!
- ギャンブルスタートは、ホームでアウトになるリスクを承知で行う戦術のこと
- 三塁ランナーは、バッターのバットにボールが当たった瞬間にスタートを切る
- 三塁ランナーは、打球判断をしないので、ライナーやフライの場合には、ダブルプレーになるリスクもある。
- ギャンブルスタートはどうしても、1点が欲しいという場面で使う戦術
- ゴロゴーは、打球がゴロであった場合にスタートを切るというもので、ギャンブルスタートとはまったく異なる戦術
どうしても、得点が欲しいという場合に行う戦術がギャンブルスタートで、ヤクルトなどで監督を務めた野村克也氏が考案した戦術と言われています。