桑田のプロ入りは順風満帆ではなかった。
事件とまで言われた「KKドラフト事件」。
KKコンビとは、PL学園時代に同級生であった桑田真澄と清原和博の頭文字を元に出来た言葉であり、清原は高校卒業後のプロ入りと自身が尊敬する当時の読売ジャイアンツの監督である王貞治監督の下でのプレーを強く望んでいました。
一方の桑田は早稲田大学への進学を表明していたため、世間も清原と読売ジャイアンツは相思相愛であり、読売ジャイアンツによる清原の1位指名は確実と見られていました。
しかし、ドラフト当日に読売ジャイアンツが1位指名をしたのは桑田。
清原は6球団から1位指名を受け、抽選の結果、西武ライオンズが交渉権を獲得しました。
この結果を受け、読売ジャイアンツと桑田との間で、大学進学を公言することによって他球団からの指名を回避しようという密約が交わされていたのではないかという噂がささやかれていたのです。
読売ジャイアンツから1位指名されると信じていた清原は、会見で涙していた映像はとても有名です。
桑田は、プロ入り1年目の阪神タイガース戦で初勝利を挙げると初の完封勝利はプロ入り2年目の1987年7月8日の広島東洋カープ戦。この試合、4-0で勝利した桑田は、スリーランホームランとタイムリーヒットで4打点すべてを1人でたたき出しています。入団当初は投手としてだけではなく、打者としても高く評価されていた桑田の実力が証明された試合でもありました。
桑田は2007年に大リーグのピッツバーグ・パイレーツの春季キャンプに招待選手として参加し、同年6月にはメジャーデビューを果たしたものの成績は振るわず、8月には戦力外通告を受け、翌年3月に現役引退を表明した。
国内(読売ジャイアンツ)での成績
防御率 | 勝利 | 敗戦 | セーブ | |
投手成績 | 3.55 | 173 | 141 | 14 |
打率 | 打数 | 安打 | 本塁打 | |
打撃成績 | .216 | 890 | 192 | 7 |
メジャーでの成績
防御率 | 勝利 | 敗戦 | セーブ | |
投手成績 | 9.43 | 0 | 1 | 0 |
今回の記事では、そんな桑田真澄選手の高校時代を振り返っていきます。
高校時代の桑田真澄(PL学園)
桑田は大阪府八尾市の出身。
プロ野球選手を数多く輩出し、全国屈指の名門校PL学園に入学しました。
桑田は投手として入学するも思うような成績を残すことが出来ずに外野手への転向を余儀なくされます。
PL学園は名門校であるがゆえに桑田以外にも期待される投手がいました。そのような時にPL学園に臨時投手コーチとして招かれたのが清水一夫コーチ。桑田自身が後に高校時代の恩師と語るコーチである。
清水コーチは球拾いの桑田の外野からの返球を見て、その球の回転と強肩、厳しい練習にも耐え続ける精神力と忍耐力に投手としての高い可能性を見出し、投手桑田として育てることを進言したのです。
1年で迎えた夏の大阪大会、桑田は背番号17を背負い投手兼外野手として登録され、4回戦の吹田高校戦で先発した桑田は被安打2の完封勝利を挙げます。その後も決勝戦で先発した桑田は見事に甲子園出場を決めたのです。
1年の夏に甲子園出場を決めた桑田は、その後も2年の春夏、3年の春夏と5期連続の甲子園出場を果たします。そして甲子園での成績も特筆すべきで、優勝2回、準優勝2回、ベスト4が1回という信じられない結果を残すのです。
その輝かしい成績の始まりとなった試合と言っても過言ではない池田高校戦をご紹介します。
水野雄二擁する池田高校、やまびこ打線との対戦
桑田が1年の第65回全国高等学校野球選手権大会の準決勝。
PL学園は前年の夏、そして先に行われた春の選抜大会で史上4校目の夏春連覇を成し遂げた池田高校と対戦しています。
池田高校は前年の夏の大会準々決勝で早稲田実業と対戦し、エースの荒木大輔などから14得点を挙げ、決勝戦の広島商戦でも12得点を挙げる強力な打力を持つチームでした。甲子園で途切れることなく鳴り響く金属バットの音がまるでやまびこのようだという意味から「やまびこ打線」と名付けられるほどのチームです。
桑田はそんな強力打線の池田高校を相手に被安打5で見事完封勝利を挙げます。
池田高校のエースは水野雄二。のちに読売ジャイアンツへ入団することとなる投手でしたが、桑田と同級生の清原はこの試合で4打席4三振を喫するのに対し、桑田はレフトへツーランホームランを放っています。しかもこのホームランは水野が甲子園で打たれた初のホームランでした。
夏春連覇、そして史上初の夏春夏制覇を目指す池田高校を相手に、「みんな池田の亡霊におびえていたんだ。でもぼくにとってはイ・ケ・ダの3文字に過ぎなかった」と言ってしまう1年生。この記事を読むだけで、桑田の強心臓振りがうかがえますね。
【参考記事】【復刻】PL学園1年生桑田 V候補池田5安打完封
⇒【松井裕樹】甲子園での成績、エピソードを紹介!奪三振記録がスゴイ!
【桑田真澄】甲子園での成績
第65回選手権大会
スコア | 対戦校 | 成績 | 勝敗 | |
1回戦 | 6-2 | 所沢商 | 完投 | 勝利 |
2回戦 | 7-0 | 中津工 | 完封 | 勝利 |
3回戦 | 6-2 | 東海大一 | 完投 | 勝利 |
準々決勝 | 10-9 | 高知商 | 4回2/3 | 勝利 |
準決勝 | 7-0 | 池田 | 完封 | 勝利 |
決勝 | 3-0 | 横浜商 | 完封 | 優勝 |
第56回選抜高校野球大会
スコア | 対戦校 | 成績 | 勝敗 | |
1回戦 | 18-7 | 砂川北 | ― | 勝利 |
2回戦 | 10-1 | 京都西 | 完投 | 勝利 |
準々決勝 | 6-0 | 拓大紅陵 | 完封 | 勝利 |
準決勝 | 1-0 | 都城 | 8回 | 勝利 |
決勝 | 0-1 | 岩倉 | 敗戦 | 準優勝 |
第66回選手権大会
スコア | 対戦校 | 成績 | 勝敗 | |
1回戦 | 14-1 | 享栄 | 完封 | 勝利 |
2回戦 | 9-1 | 明石 | 6回 | 勝利 |
3回戦 | 9-1 | 都城 | 完投 | 勝利 |
準々決勝 | 2-1 | 松山商 | 完投 | 勝利 |
準決勝 | 3-2 | 金足農 | 完投 | 勝利 |
決勝 | 8-4 | 取手二 | 敗戦 | 準優勝 |
第57回選抜高校野球大会
スコア | 対戦校 | 成績 | 勝敗 | |
1回戦 | 11-1 | 浜松商 | 6回 | 勝利 |
2回戦 | 6-2 | 宇部商 | 完投 | 勝利 |
準々決勝 | 7-0 | 天理 | 完封 | 勝利 |
準決勝 | 1-3 | 伊野商 | 敗戦 | ベスト4 |
第67回選手権大会
スコア | 対戦校 | 成績 | 勝敗 | |
2回戦 | 29-7 | 東海大山形 | 6回 | 勝利 |
3回戦 | 3-0 | 津久見 | 完封 | 勝利 |
準々決勝 | 6-3 | 高知商 | 完投 | 勝利 |
準決勝 | 15-2 | 甲西 | 6回 | 勝利 |
決勝 | 4-3 | 宇部商 | 完投 | 優勝 |
桑田の甲子園での成績
投手成績 | 20勝3敗、投球回数197回2/3、自責点34、防御率1.55 |
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打者成績 | 104打数37安打 打率.356 本塁打6 |
桑田の春夏通算20勝と150奪三振は歴代最多記録、打者としても春夏通算で6本の本塁打を放っており、これはチームメイトの清原(13本)に次ぐ歴代2位タイの記録となっています。
まとめ!
- 入学当初は投手を首になり外野で球拾いをしていた
- 清水コーチとの出会いで野球人生が一変
- 通算奪三振記録保持者であり、通算歴代2位の本塁打記録保持者
KKコンビとして輝かしい成績を残した高校時代。
その輝かしさを打ち消すようなドラフト事件でのバッシング。
エースとして君臨した読売ジャイアンツ時代。
度重なる大けがを克服し、自身の夢であった大リーグへの挑戦を果たした人並外れた不屈な精神力。
桑田真澄はレジェンドと呼ぶにふさわしい選手だったと言えるのではないでしょうか。
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