2019年現在、ダルビッシュ有が所属しているシカゴ・カブスは、近年強豪として知られています。
2015年から2018年まで4年連続でプレーオフに進出し、2016年にはワールドシリーズを制覇しました。
しかし、2016年にワールドシリーズを制覇するまでは、1945年から71年間、ワールドシリーズに進出することができませんでした。
また、ワールドシリーズ制覇に関しては、1908年から108年間、遠ざかっていました。
そして、カブスファンの間では、これは「ヤギの呪い」のせいだと言われてきました。
ヤギ(ビリーゴート)の呪い、その始まりとは?
ヤギの呪いは「ビリー・ゴートの呪い」とも呼ばれ、カブスがワールドシリーズに出場した1945年に始まったものです。
1945年のカブスは98勝56敗という圧倒的な成績でレギュラーシーズンを終え、ワールドシリーズにおいてもデトロイト・タイガース相手に3試合が終了した時点で、2勝1敗と優位に立っていました。
そして、カブスは本拠地であるリグレー・フィールドにて第4戦を迎えます。
リグレー・フィールドには多くのカブスファンが訪れましたが、その中の1人にシカゴでバーのオーナーを勤めている、ビリー・サイアニスというファンがいました。
サイアニスのバーは「ビリー・ゴート・タバーン」という名前であり、サイアニスはマーフィーという名のヤギを飼っていました。
第4戦の日、サイアニスは飼っていたヤギ・マーフィーとともにリグレー・フィールドに足を運びましたが、カブスの関係者がマーフィーの臭いを理由に入場を拒否してしまいました。
今まで、マーフィーの臭いが問題になったことはなかったため、サイアニスはこの態度に激怒し、「カブスは2度と勝てないだろう。リグレー・フィールドにヤギの入場が許されるまで、カブスは2度とワールドシリーズに勝てない。」と言って帰ってしまいます。
その試合はカブスが敗れ、最終的にタイガースが4勝3敗でワールドシリーズ制覇を果たします。
一方、このワールドシリーズ敗退を境に、カブスは暗黒時代に突入し、1984年までプレーオフに進出することができませんでした。
また、プレーオフに進出した1984年、1989年、1998年、2003年、2007年、2008年、2015年は、ワールドシリーズに進出することなく敗退しています。
特に、ワールドシリーズ進出にあと1勝と迫っていた2003年のナショナルリーグチャンピオンシップシリーズでは、カブスファンによるファウルフライの捕球妨害をきっかけに逆転を許し、進出を逃しています。
この一件は「スティーブ・バートマン事件」と呼ばれ、動画も残されています。
このように、ヤギの呪いは長年カブスファンを苦しめていました。
- ヤギを連れたサイアニスの入場を拒否したことから始まる。
- ワールドシリーズに出場するまで71年もかかった。
ヤギの呪いが解けた!108年ぶりの快挙に川崎もチームに滞在!
しかし、2015年頃になると、生え抜きやトレードで獲得した若手が順調に成長し、移籍によりに入団したベテランの活躍もあり、強豪として復活を遂げます。
2016年には103勝58敗という圧倒的な成績を残し、プレーオフにおいても順調に勝ち進んでいきます。
特に、クリス・ブライアントやアンソニー・リゾが率いる打線は強力なうえ、投手陣はジョン・レスター、カイル・ヘンドリクス、ジェイク・アリエタを中心に安定しており、チームとしての完成度は非常に高いものでした。
そして、ナショナルリーグチャンピオンシップシリーズではロサンゼルス・ドジャースを破り、71年ぶりにワールドシリーズ進出を果たしました。
ワールドシリーズでは、68年間ワールドチャンピオンから遠ざかっているクリーブランド・インディアンスとの「古豪対決」となりましたが、第7戦までもつれ込んだ死闘を制し、108年ぶりのワールドシリーズ制覇を果たしました。
以下の動画は、制覇を決めた試合のハイライトです。
なお、2016年のカブスには川崎宗則が所属しており、レギュラーシーズンにて14試合に出場しています。
また、ワールドシリーズを含むプレーオフでは、ロースターに入っていなかったため出場することはありませんでしたが、チームに帯同しムードメーカーとして貢献しており、ヤギの呪い解放の一役を買っていたことは間違いないでしょう。
【MLB】
カブス川崎、スタメン出場で躍動
1安打含む3出塁&2得点https://t.co/38fCfSxkvC
ポストシーズンを前に猛アピール!
カブスはこれでシーズン101勝目。 pic.twitter.com/RGHFfjhWTd— ベースボールキング⚾ (@BaseballkingJP) September 28, 2016
メジャーで有名な呪い、ジンクスとは
メジャーリーグには、カブスのヤギの呪いと同じような、「優勝できない」というような呪いやジンクスがいくつか存在します。
バンビーノの呪い
ボストン・レッドソックスに起きた、ベーブ・ルースをトレードで放出したことにより始まった呪いです。
レッドソックスは1918年以降、2004年までワールドシリーズを制覇することができませんでした。
⇒ バンビーノの呪いとは?ベーブ・ルースの放出によって始まった悲劇
ブラックソックスの呪い
シカゴ・ホワイトソックスに起きた、ブラックソックス事件により始まった呪いです。
ホワイトソックスは1917年以降、2005年までワールドシリーズを制覇することができませんでした。
ロッキー・コラビトの呪い
クリーブランド・インディアンスに起きた、ロッキー・コラビトの放出により始まった呪いです。
インディアンスは1960年から1993年の間、プレーオフに進出することができず、レギュラーシーズンにて3位以上になったことは1度しかありませんでした。
まとめ
- ヤギの呪いとは、シカゴ・カブスが1945年のワールドシリーズにてヤギの入場を断ったことにより始まった、ワールドシリーズに進出することができないというジンクス。
- 1945年以降、カブスはプレーオフに進出することが減り、進出してもワールドシリーズに達する前に敗退していた。
- 2016年にワールドシリーズ進出を果たしたうえ、死闘を乗り越え制覇を果たし、ついにヤギの呪いを解いた。
- メジャーリーグには他にも、バンビーノの呪いやブラックソックスの呪いなどがある。