野球用語

沢村賞って何?そもそも沢村って誰?受賞者はどんな人?

日本プロ野球には様々な賞が存在します。

投手部門においては、最優秀防御率賞や最多勝利投手賞など、それぞれの部門でその年に最も優れた成績を残した選手が表彰されています。

そんな数ある賞の中でも、選考基準が厳しく、投手にとって最高の栄誉と言われている賞が「沢村賞」です。

沢村賞って何?受賞基準は?

沢村賞とは、プロ野球黎明期に活躍した巨人の大投手・沢村栄治を称え、1947年に読売新聞社が制定した賞で、先発完投型の投手でその年に活躍した投手に表彰されるものです。

なお、沢村賞は通称で、正式には「沢村栄治賞」と呼びます。

 

史上初の受賞者は1947年の別所昭(当時;南海)。

1964年には、ジーン・バッキー(当時;阪神)が海外出身者で初めて受賞しています。

 

沢村賞の選考基準には非常に厳しいラインが引かれています(1982年以降)。

沢村賞の選考基準
  • 登板数 25試合以上
  • 完投試合数 10試合以上
  • 勝利数 15勝以上
  • 勝率 6割以上
  • 投球回数 200イニング以上
  • 奪三振 150個以上
  • 防御率 2.50以下

これら7つの項目に2018年からは、7回以上で自責点3点以内という独自基準のクオリティースタート(QS)率を補足として加えて、この基準に沿った成績を上げた投手を表彰することになりました。

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沢村栄治とはどんな投手だったのか?

沢村賞の元となっている沢村栄治という選手はいったいどんな選手だったのでしょうか。

 

沢村栄治は、三重県宇治山田市出身(現;伊勢市)。

プロ野球リーグ発足前の1934年に日米野球の全日本チームに参戦。4試合に先発し、中でも11月20日の試合では、ルー・ゲーリッグのソロ本塁打を浴びただけで、メジャーリーグ選抜を相手に8回5安打1失点の好投を見せました。

1936年にプロ野球リーグが開始すると、プロ野球史上初のノーヒットノーランを達成。その年の優勝決定戦では3連投し、巨人に初優勝をもたらします。翌1937年には24勝・防御率0.81の成績を残し、プロ野球史上初のMVPに選出。この年には2度目のノーヒットノーランも記録しています。

その後は徴兵によって手榴弾を多投させられたことから右肩を負傷。左手も銃弾貫通で負傷し、マラリアにも感染。復帰後には3度目のノーヒットノーランを記録するも1944年のシーズン開始前に巨人から解雇されました。

沢村賞 歴代受賞者

日本プロ野球黎明期にメジャーリーグ選抜を相手にこれだけの成績を残し、プロ野球リーグ発足後も24勝・0.81という防御率だけでなく、連投に次ぐ連投の上、ノーヒットノーランも記録し、プロ野球史上初のMVPに選出された沢村栄治を称えて創設された沢村賞。

過去10年の受賞者は下記の通りです。

年度 受賞者 チーム 登板 完投 勝利 勝率 投球回 奪三振 防御率
2010 前田健太(1) 広島 28 6 15 .652 215.2 174 2.21
2011 田中将大(1) 楽天 27 14 19 .792 226.1 241 1.27
2012 摂津正 ソフトバンク 27 3 17 .773 193.1 153 1.91
2013 田中将大(2) 楽天 28 8 24 1.00 212 183 1.27
2014 金子千尋 オリックス 26 4 16 .762 191 199 1.98
2015 前田健太(2) 広島 29 5 15 .652 206.1 175 2.09
2016 K・ジョンソン 広島 26 3 15 .682 180.1 141 2.15
2017 菅野智之(1) 巨人 25 6 17 .773 187.1 171 1.59
2018 菅野智之(2) 巨人 28 10 15 .652 202 200 2.14
2019 該当者なし

沢村賞まとめ

沢村賞まとめ!
  • プロ野球黎明期に活躍した沢村栄治を称え、読売新聞社にて制定された賞
  • 7つの厳しい基準を元に選考
  • 選考基準をすべて満たしていても選出されないケースがある

沢村賞の選考基準が設定されて以降、すべての基準を満たしていたにもかかわらず、選出されなかった選手もいます。

 

  • 江川卓
  • ダルビッシュ有(2回)
  • 金子千尋

 

なぜそのようことが起こってしまうのか。

沢村賞の選出には7つの基準以外に、選考委員による議論によって選出されます。

江川卓については様々な憶測が飛び交っていますが、ダルビッシュや金子千尋は、同年により印象が強く、タイトルを多く受賞した選手が他にいたために選出されなかったと言われています。

 

沢村賞の選考に当たっては明確な基準があるにもかかわらず、全項目をクリアした選手が選出されずに、4~5個の基準しかクリアしていない選手が選出されたりと、その曖昧さは常に指摘されています。また、先発・中継ぎ・抑えと分業制が定着している現代野球において、完投数や投球回、奪三振などをクリアすることは非常に難しい基準となっています。

 

2019年のように「該当者なし」を良しとするのか、それとも現代野球に合わせた基準を制定し該当者を選出する方が良いのか。

投手として最高の賞である沢村賞の価値を維持するためにも、無理に選考基準を変えることだけはしないように、しっかりと議論をしていただきたいですね。



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