【野球】神主打法とは？落合選手から学ぶメリット・デメリットとは？

皆さんは神主打法という打撃フォームをご存じでしょうか？

神主打法とは、全身をリラックスさせた状態で、バットを立てグリップエンドをへその前に置く独特のフォームです。

この姿勢が、神主が白く長い紙のついた棒（御幣）を持ちおはらいをする様子に似ていることから命名されました。

神主打法を取り入れた選手としてもっとも有名なのが「神主打法の代名詞」とも言われる落合博満。

落合氏は、ロッテオリオンズに入団後、中日ドラゴンズ、読売ジャイアンツ、日本ハムファイターズに在籍し、日本プロ野球史上唯一となる3度の三冠王を達成した選手です。

落合氏以外にも、右打者では平田良介（中日ドラゴンズ）や清原和博（元西武ライオンズ）、左打者では小笠原道大（元日本ハムファイターズ）などが神主打法を取り入れていました。

神主打法を使用した主な選手の成績

これだけの成績を残している神主打法。

神主打法を取り入れるメリットは何なのか？デメリットはないのか？

解説していきます。

Contents

神主打法のメリット

リラックスと長打力向上は連動しています。

全身をリラックスさせた状態で構え、スイングの瞬間に全身の筋肉を動かすことでより大きな力を発揮するという理論に基づきます。

先にあげた落合氏や小笠原氏に共通するのが、ともに筋肉隆々の選手ではないにもかかわらず、プロ野球生活で300本以上もの本塁打を放ち、5割以上の長打率を残す成績を収めている点です。

長打力を向上させ、素晴らしい結果が出ている打法であるにもかかわらず、なぜこの打法を取り入れる選手が多くならないのでしょうか。

その理由は、メリット以上にデメリットの要素が強いという点にあります。

まず初めに落合氏は、神主打法について「フォームの基礎を崩してしまうから野球少年たちは真似をしないように」と述べています。

神主のおはらいのような構えから腕をたたみトップを作るため、打撃フォームが固まっていない選手がこの打法を取り入れてしまうとトップの位置が毎回変わってしまい、バットコントロールが困難となる結果を生み出してしまいます。

なかには神主打法のメリットとして「インコースが打ち易くなる」と述べている解説も目にしますが、これは落合氏がもともとアウトステップ（投手側の足を開きながらステップ）するタイプだったため。

インコースを打ちやすくするための打法ではなく、プロではアウトコースのストレートやスライダーへの対応が必要不可欠で、どのコースに対しても自然体で対応しようと色々と研究した結果が神主打法と言われています。

「野球少年たちに真似をしないように」と述べた落合氏ですが、神主打法そのものの習得を否定している訳ではありません。落合氏がもっとも大事だと話していた練習方法があります。

神主打法をマスターするためにおススメな練習方法は、「バスターバッティング」です。

神主打法のデメリットはトップの位置が毎回変わってしまうこと。

落合氏はそのトップがきちんと決まっていたため、バットの軌道がスムーズにボールに入り多彩なバットコントロールを可能にしていました。

そんな落合氏が、トップを作るために「一番だ！」と言っていた練習方法が「バスターバッティング」です。バスターバッティングとはバントの構えからバットを引いて打ちに行く打撃方法。

落合氏もフリーバッティングの練習時や試合前でも必ずバスターバッティングを行っていました。この動作を繰り返すことで、自然とトップの位置が固まっていきます。

「オレ流」と言われ、人に教わることが好きではなかった落合氏が唯一「打撃の先生」と呼んでいた人がいます。元ロッテオリオンズで落合氏の先輩である土肥健二氏です。

土肥氏は直接的にアドバイスをしたことはないということですが、落合氏の神主打法は土肥氏のフォームを参考にしたと言われています。

その土肥氏も「落合の打撃フォームをお手本にするのは難しいでしょう」と言っています。

落合氏は投手の後ろの景色に合わせて構えるらしく、球場によって微妙にフォームを変えていたとのこと。

「これぞプロ！」というところではありますが、バスターバッティング練習を反復し、あなた独自の神主打法を作ってみるのもいかがでしょうか。