打者がボールを打ちに行きながらも途中でバットを止める「ハーフスイング」。
止めたバットにボールが当たらなければ、球審はストライクまたはボールの判定を行うことになります。
打者の状態に関わらず、投球がストライクゾーンにあったのであれば審判はストライクを宣告しますが、シチュエーションに応じては球審の判定が覆るケースがあるなど、ハーフスイングには多少の複雑さが存在します。
ここでは、そんなハーフスイングについて解説を行って参ります。
ハーフスイングとスイングの境界線
残念ながら公認野球規則にはハーフスイングに関する明確な定義は記されておりません。
「どこからがスイングになるのか」と問題になることが多々ありますが、最終的には、審判員の判断に委ねられることとなっております。
とはいうものの、ある程度の判断基準は必要となります。
あくまで参考程度となりますが、打者の手首が返っているかどうかを判断基準としている審判員は多いようです。
ハーフスイングに対するアピール(確認)
プロ野球だけでなく、高校野球や少年野球でも選手が球審にハーフスイングの確認を行う姿を見たことがあるのではないでしょうか。
片手を挙げ人差し指を立ててくるくると回転させるジェスチャーや対象の塁審を指さすジェスチャー等。
公認野球規則内にある「審判の裁定」には、次のような注釈があります。
「ハーフスイングの際、球審がストライクと宣告しなかったときだけ監督または捕手は振ったか否かについて、塁審のアドバイスを受けるように球審に要請することができる。球審はこの要請があれば塁審にその裁定を一任しなければならない。塁審は球審からの要請があれば直ちに裁定をくだす。このようにしてくだされた塁審の裁定は最終のものである」
つまり、ハーフスイングに対するアピールについて、その権限を持っているのは、監督と捕手のみであり、投手や野手がアピールを行ったとしても球審は受け入れる必要はないということになります。
球審はアピールがない場合でも、自らがハーフスイングの判定を確認するために、塁審に裁定を委ねる場合もあります。なお、球審が裁定を一任する塁審は、打者が右打席の場合には一塁塁審、打者が左打者の場合には三塁塁審となります。
打者がハーフスイングではないことをアピール(確認)
前項は、守備側によるハーフスイングへのアピールについて触れてきました。
では、攻撃側によるアピールは可能なのでしょうか。
打者がアピールをするケースとして考えられるのは、打者がハーフスイングを行った結果、球審にストライク判定を下された時に行われる可能性があります。
「球審さん、塁審に確認してくださいよ!」という具合です。
答えは、先に文章として記載した通りとなります。
つまり、「ハーフスイングの際、球審がストライクと宣告しなかったときだけ監督または捕手は振ったか否かについて、、、」ということです。
ハーフスイングをしたことにより球審にストライクと判定された打者が、スイングをしていないことを証明するために塁審への確認を求めても球審はそれを認めません。
ハーフスイングまとめ
- ハーフスイングに明確な規定はない
- 球審がストライクと宣告しなかったときだけアピールが可能
- アピールが出来るのは監督と捕手のみ
以上のことから、ハーフスイングについては明確な判断基準が明記されていないため、審判員によっても判断が異なることを分かっていただけたと思います。
プロ野球だけでなく、高校野球でも試合によっては審判員の紹介がありますが、強豪校ともなると審判員の癖をデータとして取っている学校も少なくはありません。
ハーフスイングについても同様で、「今日の一塁塁審の●●さんは、ハーフスイングは厳しく取る人だから、振ってないと思ってもアピールはするように!」との打合せは行われているものです。