九州地区の社会人野球はかつては製門戦(八幡製鉄と門司鉄道管理局:現JR九州)の名門チーム対決や炭鉱関連のチームが活躍するなどの盛んな時期がありました。
しかしながら、その流れを汲む新日鉄八幡も解散すると全国でも上位進出を続けていた三菱重工長崎もチーム再編で神奈川のチームへ吸収されたため企業チームはかなり減ってしまいました。
そのなかでやはり伝統があるJR九州を筆頭に地元選手を中心とした構成で全国に挑んでいます。
- 黒獅子旗へ挑む JR九州
- 創部まもなく躍進 西部ガス
- 自動車教習所の挑戦 宮崎梅田学園
- 好投手育成に定評 Honda熊本
- 「スーパーマン」軍団 熊本ゴールデンラークス
JR九州
北九州市を拠点にしており門司鉄道管理局として戦前からの歴史を持つ名門チームです。
JRとなって2000年代以降に新たに強豪としての地位を確立しています。
地元出身選手が中心でありながらも、チーム改革で本州出身の選手も積極的に受け入れると小松聖(福島出身・元オリックス)などが活躍して全国大会で上位進出を続けました。
2010年には都市対抗野球準優勝までたどり着いており、JRとなってからの悲願の優勝を目指しています。
西部ガス
福岡市を拠点に2011年創部の新しい企業チームです。
九州地区の企業チーム活動停止が相次ぐなかで参戦すると、数年で都市対抗野球出場を果たしました。
甲子園連覇を成し遂げた九州出身の元駒大苫小牧・香田監督がその後を引き継いで新風を巻き起こしています。
香田監督は社会人野球未経験ながらその手腕は確かなものがあり、地元出身選手が野球を続けられる受け皿としても期待されています。
九州地区の大会では既に安定した成績を残しているために、今後は全国での上位進出を狙っています。
宮崎梅田学園
宮崎梅田学園は異色のチームとして注目されています。
それは母体が自動車教習所を運営しているためで、選手は教習所で教官や職員として勤務しているのです。
宮崎は社会人野球チーム不毛の地であったことから、経営者が若い選手に野球を続けられる環境を用意したいという思いから2006年に設立されました。
アマチュア時代に有名だった選手は少ないなかで練習を続けるとプロへも選手を輩出して、都市対抗野球への出場も果たしています。
企業チームが減少するなかで新たな存在として応援したいものです。
Honda熊本
1983年に創部されたチームですが早くから安定した実績を残して、プロへも選手を送り出してきました。
特に投手ではアンダースローの山中浩史、社会人在籍8年を経て遅咲きのドラフト指名であった荒西祐大など地元出身の個性派です。
指導者や選手も埼玉チームとの異動があるなどグループの力を活かして補強しており、今後も上位に食い込む可能性を秘めています。
熊本地震では工場が被災するなど苦難のなかで都市対抗出場を果たすなど地元を勇気づける存在になっています。
熊本ゴールデンラークス
2005年創部の新しいチームです。
企業は地元で鮮ど市場というスーパーマーケットを展開しており、地域密着を目指した活動を進めています。
やはり多くの選手の受け皿にという思いで設立され、選手自身が売り場や倉庫で働きながら来客にチームを応援してもらえるよう呼び掛けています。
3年目に都市対抗初出場で勝利をあげると、複数のプロ入り選手も輩出しています。
また他チームを退いたり、海外やプロ経験のある選手を受け入れて幅広い経歴の人材を受け入れています。
アマチュア時代は控えだった選手も活躍できる場として貴重なチームとなっています。
九州の社会人チームまとめ!
九州地区は紹介したとおりに、伝統あるチームで残っているのは数少なく一方で新規参入したチームが独自のカラーを打ち出して全国舞台に登場しています。
また沖縄電力や営業マンが部員である九州三菱自動車も都市対抗出場の経験があり、野球の盛んな九州だけに社会人野球でもその存在感を全国へアピールしてほしいものです。