ホームスチールとは、本塁への盗塁のこと。
そもそも一般的な盗塁は、投手の投球モーション開始と同時に走者がスタートを切り、捕手からの送球の間に先の塁に達することを言います。
盗塁の種類には、一塁から二塁への二盗、二塁から三塁への三盗、三塁から本塁への本盗があり、捕手からその塁までの送球距離が短くなればなるほど、その成功率は低くなります。
つまり、盗塁の難易度は「二盗 < 三盗 < 本盗」の順に高くなることから、本盗は盗塁の中で最も難易度の高い盗塁となります。
動画のようにホームスチールにも様々な種類があります。
ここでは、代表的な2種類のホームスチールについて取り上げていきたいと思います。
ホームスチールの種類
ホームスチールには、そのスタートのタイミングによって大きく2種類に分けることが出来ます。
投手の投球モーションとともにスタートを切る
最も成功率が高いのは、二死三塁の場面で投手が左投の場合。
無死や一死のケースでは守備側にとってはスクイズなどの戦術の危険性があるため、三塁走者への意識が強くあるのに対し、二死の場面ではその危険がほとんどなくなるため、投手がセットポジションではなくワインドアップポジションで投げようとする場合や、セットポジションでも足を大きく上げるケースが多くなり、その隙をついてホームスチールが敢行されます。
また、打者が右打者で敬遠をしようとする際には、捕手は一塁側に大きく離れた位置で捕球をすることと、敬遠のために投手も緩めのボールを投げる傾向が高いことから、その隙をついてホームスチールが敢行されることもあります。
捕手からの送球の隙にスタートを切る
これは投手や捕手の癖を盗み取り、事前の観察情報を元に敢行されるホームスチール。
投球を捕球した後の捕手がどれだけ三塁走者を意識しているか、投手への返球のスピード、捕手からの返球を捕球した投手のその後の行動と癖、投手の俊敏さなど、過去の対戦やその試合の中での動きを観察して、それらの情報を根拠にホームスチールを敢行します。
もう1つは、走者一・三塁の場面。
一塁走者が二盗を敢行し、捕手から二塁への送球の合間に三塁走者が本塁へ走るケース。
ただし、この場合は一塁走者と三塁走者の重盗と記録されるケースもあれば、その過程で失策が絡み本盗として記録されないケースもあります。
2017年4月8日の広島-ヤクルトで、広島の新井貴浩が自身3度目のホームスチールを記録しています。
2死一・三塁の場面で、一塁走者がスタートを切ると、ウエストを選択していたヤクルト・バッテリーに隙が生まれます。
捕手からの中途半端な緩い送球に対し、投手がマウンドでかがみ込んだのを見た三塁走者の新井はホームスチールを敢行し、ワンバウンド送球を二塁手が捕球した直後にはホームを奪っていました。
偶然が重なって成功したホームスチールにも見えますが、このホームスチールを仕掛ける2球前に、三塁コーチからバッテリーに関する傾向や癖についての情報が耳打ちされています。
試合後に新井は、迷いなくスタートを切れたことが成功の要因だったと話しています。
また、新井は足の速い選手ではないにも関わらず3度のホームスチールを成功させています。
新井自身、「足が速い、遅いは関係ない。どれだけ意識して次の塁を狙うか。」と話しており、ホームスチールの成功には、次の塁を奪い取る意識と事前の情報収集、思い切りが大切であることを証明しています。
ホームスチールまとめ!
- 盗塁の中では最も難易度が高い
- 投手の投球モーションとともにスタートを切る
- 捕手からの送球の隙にスタートを切る
- 次の塁を奪い取る意識、情報収集、思い切りが大切
ホームスチールは成功すれば直接得点になるため効果の高い戦術ですが、それが故に難易度も高く失敗するケースも多くなります。
また、打者との信頼関係もとても重要なファクターです。
ホームスチールは、「この打者では打てない」と走者に思われていることを暗に示していると捉えることも出来ますし、サインとして出た場合は尚更です。
ホームスチールは闇雲に企画する戦術ではなく、成功する根拠を元にして行うことがより重要な戦術だと言えます。