プロ野球の解説を聞いていると「逆方向に引っ張った!」というコメントを聞いたことがあるのではないでしょうか。
逆方向に、引っ張る…
全く矛盾する言葉でありながら、この言葉自体はいわゆる野球用語としてしばしば用いられている言葉でもあります。
ここでは「逆方向に引っ張る」とはどのようなことを意味しているのかについての解説を具体的な要素を踏まえながら取り上げていきます。
逆方向に引っ張る!?
まず初めに、「逆方向」とは、右打者であればセンターよりライト方向を指し、左打者であればセンターよりレフト方向を指します。
一方で、「引っ張る」とは、右打者ならセンターよりレフト方向を、左打者ならセンターよりライト方向のことを意味しているため、この2つの言葉を掛け合わせた「逆方向に引っ張る」とは、全く逆の意味の言葉を掛け合わせた言葉であるということは誰もが知っていることだと思います。
言葉としての「逆方向」「引っ張る」という意味は上記のとおりであるため、野球用語として使用する「逆方向に引っ張る」とは、打撃理論におけるイメージまたは感覚であると捉えることが自然的となります。
打撃理論における「逆方向に引っ張る」
ここまでの解説で、逆方向に引っ張るとは、打撃理論におけるイメージまたは感覚であるとしてきました。
それでは、具体的にはどのような事を意味するのかを解説していきたいと思います。
逆方向に引っ張るための技術的要素
- 両手で打つ
- 押し込むイメージ
- ヘッドを立てる
- 背筋でグッと引っ張り込む
これらは村田修一(元;読売ジャイアンツ)と古田(元;ヤクルトスワローズ)が「逆方向に引っ張る」ということについて必要不可欠の要素として取り上げたものです。
「両手で打つ」「押し込むイメージ」
強い打球を打つためには、片手ではなく両手である方が力がボールに伝わり、また、押し込むというイメージも強い打球を打つためには欠かすことの出来ない要素と言えます。
もちろん、両手で打たないことには押し込むことも出来ません。
「ヘッドを立てる」
これが一番難しい要素と言えます。
野球において、ストライクゾーンはバットを振る時の手の高さよりも低い位置にあります。
つまり、普通に振るとバットのヘッドはグリップよりも重く作られているため、必然的にバットのヘッドは下がった状態で出て来ます。
バットのヘッドが下がった状態で当たるとボールにサイドスピンがかかり、ボールは強く飛びません。
逆方向に引っ張る打球を打てるのは、バットとボールが当たるインパクトの瞬間に、とても強い力でバットを返すイメージで打ち返すことが出来る打者です。
バットを返すことでヘッドが立ち、その状態でボールに当たるとバックスピン(縦回転)がかかります。縦回転がかかった打球は強い打球となり「逆方向に引っ張る」と言われる打球となるのです。
「背筋でグッと引っ張り込む」
最後は力技です。
これまでの要素に、強い下半身と背筋力でボールを押し込みながら引っ張るイメージを加えます。
これらの要素を兼ね備えることにより、「逆方向に引っ張る」と言われる打球を放つことに繋がります。
逆方向に引っ張るまとめ!
- 両手で打つ
- 押し込むイメージ
- ヘッドを立てる
- 背筋でグッと引っ張り込む
「逆方向に引っ張る」を具現的に行なっている代表的な打者として、柳田悠岐(福岡ソフトバンクホークス)が挙げられます。
柳田選手はフルスイングが持ち味で強靭な背筋力を兼ね備えています。
また、スイングスピードが特筆して速い打者でもあります。
右打者では東北楽天の浅村選手なども取り上げられることもありますが、今後はより、右打者の中から「逆方向に引っ張る」の代名詞と言われるような打者が現れる事を期待しています。