攻撃側のチームでグランドに立っているのは打者や走者だけではありません。
1塁ベースと3塁ベースの後ろには、必ずベースコーチと呼ばれる選手またはコーチが立っています。
ここでは、ベースコーチが担う役割とは何なのか?どんなルールがあるのか?など、ベースコーチを知る上で必要なことを解説していきます。
ベースコーチの役割
ベースコーチには1塁ベースコーチと3塁ベースコーチがあり、それぞれ異なった役割が存在します。
1塁ベースコーチ
- 投手の癖を見抜く
常に近い場所から投手を観察し、牽制球に対する癖を見抜くように観察しています。
また、走者がいない場合にも投手の癖(特に左投手)から球種を絞ったりしています。
- バッターランナーへの指示
打球を放ったバッターランナーに対し、1塁ベースを駆け抜けるのか、2塁進塁を目指すのかをジェスチャーで伝えます。
- 1塁走者への指示
塁上でコミュニケーションをとり、投手の癖や守備位置の確認などを行います。
牽制時には「バック!」と大きな声を出し走者の帰塁をアシストします。
- 2塁走者への指示 など
リードの大きさを指示するとともに、2塁走者にとって死界となる遊撃手の位置を大きな声やジェスチャーで知らせます。
- その他
打者用防具(エルボーガードなど)の回収、コールドスプレー担当、審判への「セーフ」のアピール
3塁ベースコーチ
- 本塁への進塁指示
走者を本塁に突入させるかどうかの判断を行い、掛け声やジェスチャーで伝えます。
もっとも大きな役割で、本塁に突入させた走者がアウトになるケースが多くなると「壊れた信号機」と揶揄されます。
- 打者や走者へのサイン(主にプロ野球)
ベンチにいる監督やコーチの指示を選手に伝える役割を担っています。
- その他
3塁へ進塁してきた走者へのスライディングやノースライディングの指示、コールドスプレー担当、審判への「セーフ」のアピール
ベースコーチが守らなければならないルール
公認野球規則にはベースコーチについての記載もされています。
- 攻撃側チームは攻撃期間中、2人のベースコーチを1人は1塁近く、1人は3塁近くを所定の位置につかせなければならない。
- ベースコーチは各チーム特に指定された2人に限られ、次のことを守らなければならない。
- そのチームのユニフォームを着ること。
- 常にコーチスボックス内に留まること。
「ペナルティ」審判員は本項に違反したものを試合から除き、競技場から退かせる。
「原注」ここ数年ほとんどのコーチが片足をコーチスボックスの外に出したり、ラインをまたいで立ったり、コーチスボックスのラインの外側にわずかに出ていることは、ありふれたことになっているが、相手チームの監督が異議を申し出ない限り、コーチスボックスの外に出ているとはみなされない。
しかし、相手チーム監督の異議申し出があったら審判員は規則を厳しく適用し、両チームのコーチがすべて常にコーチスボックス内に留まることを要求しなければならない。コーチがプレーヤーに「滑れ」「進め」「戻れ」とシグナルを送るためにコーチスボックスを離れて、自分の受け持ちのベースで指図することもありふれたことになっている。このような行為はプレイを妨げない限り許される。
- 監督が指定されたコーチに代わって、ベースコーチとなることは差し支えない。
- アマチュア野球では、ベースコーチを必ずしも特定の2人に限る必要はない。
- コーチがプレイの妨げにならない範囲でコーチスボックスを離れて指図することは許されるが、例えば3塁コーチが本塁付近にまで来て得点しようとするランナーに対して「滑れ」とシグナルを送るようなことは許されない。
また、次の場合はインターフェアが適用され、ペナルティランナーはアウトになりボールデッドとなります。
- 3塁または1塁のベースコーチがランナーに触れるかまたは支えるかしてランナーの3塁または1塁への帰塁あるいは離塁を肉体的に援助したと審判員が認めた場合。
- ランナー3塁の時ベースコーチが事故のボックスを離れて何らかの動作で野手の送球を誘致した場合。
ベースコーチまとめ!
- 1塁ベースコーチと3塁ベースコーチにはそれぞれに役割がある
- ランナーに触れるとインターフェアが適用される場合がある
プロアマ問わず、現代野球においてベースコーチにはヘルメットの着用が義務付けられています。2007年にマイナーリーグの試合中にベースコーチが頭に打球を受け死亡した事故がその要因です。
ベースコーチをやる上では、与えられた役割を担うためだけではなく、身の安全を保つためにも、ボールの行方からは目を離さず常に集中しておくように心がけましょう。